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お酒を飲んで天国から地獄へ まんしゅうきつこがアル中語る

2015年04月24日 19:02  新刊JP

新刊JP

『アル中ワンダーランド』を上梓したまんしゅうきつこさん
雑誌やテレビでの顔出し解禁で話題を呼んでいる人気漫画家・まんしゅうきつこさんの初の書き下ろし単行本が4月9日に発売された。タイトルは『アル中ワンダーランド』(扶桑社/刊)だ。
 その名の通り、アルコール依存症の経験を漫画化したもので、ご近所さんとのバトルのようなクスッと笑える話から、トークイベントでのまさかのポロリといった目も当てられない残念なエピソードまで、アルコール依存症の地獄に吸い込まれていくまんしゅうさんが描かれている。

 今回、編集部はまんしゅうさんにインタビューを敢行。『アル中ワンダーランド』について語っていただいた! この前編ではどのようにしてこの漫画が作られたのか、顔出し解禁の理由などを聞いた。昨日配信した前編に引き続き、後編をお届けする!
(インタビュー・構成:金井元貴)

■今でもお酒は飲みたい、でもマンガか書けなくなる…

――引き続き、『アル中ワンダーランド』についてうかがっていきたいのですが、小田嶋隆さん、中川淳一郎さんとの鼎談はいかがでしたか?

まんしゅうきつこさん:もともと小田嶋さんの本が大好きで、ぜひ会いたいと。小田嶋さんご自身もアルコール依存症で、今は禁酒されている方なのでそういう部分でもお話をうかがいたいと思っていました。

――実際にお会いしていかがでしたか?

まんしゅう:去年酷いうつ状態になって、漫画も描けない、文章もかけない、でも締切はある常に追い詰められた状況だったのですが、小田嶋さんの本を読んだ時に一筋の光が見えた気がして…。技巧にこだわらず素直に描きたいことを描けばいいや~!と思えたんです。なので、いつか小田嶋さんに会ったらお礼を言わなくちゃ!と思っていたのですが、実際ご本人を目の前にしたら緊張で何にも話せなかったのが悔やまれます…。

――じゃあちょっとお酒を入れたいと。

まんしゅう:本当、すごい飲みたかったんです。でも飲んだら私はもう終わるといつも呪文のように唱えてますから…。それに小田嶋さんも禁酒されていたので。中川さんも大好きな人ですし、お二人と鼎談できて良かったです。この本の一番の読みどころだと思います(笑)

――今でもお酒を飲みたくなるんですね。

まんしゅう:飲みたいですよ。ただ、マンガが書けなくなると思うと、飲まなくなるんです。

――『アル中ワンダーランド』の中の、アルコール依存症の人々が自身の体験を語る「断酒会」に参加したエピソードは非常に印象的でした。お酒をやめたい人たちが集まるという。

まんしゅう:そうですね。そこで話された内容は外で公表してはいけない決まりなので、エピソードまでは書いていないのですが、参加されていた方々がすごく饒舌で、起承転結がしっかり組み立てられてすごく面白いんですよ。お酒が飲みたくなくなるようなお話になっているんです。だから家でちゃんと考えてきているんじゃないかなって。私も話を振られたのですが、何を話せばいいのかわからなかったです。

――アルコール依存症になっていたときに一番つらかったことはなんですか?

まんしゅう:「こむら返り」です。本当に辛かった。頻繁に起こるんですよ。歩いていても足がつるし、いくら痛くても駅の中でいきなりゴロゴロ転がるわけにはいかないわけですから。そういうときはしばらく止まってやり過ごしていました。

――普段から酩酊状態だったんですか?

まんしゅう:そうです。お酒を飲むと酩酊感がきて、リラックスできるというか。スーパーサイヤ人状態になることができるので(笑)

――そのスーパーサイヤ人状態を垣間見ることができるのが、第5話の「バルス!」です。お酒を飲んでボス的な存在だったご近所さんに突っかかるところで、そのときやっていた『天空の城ラピュタ』の「バルス!」のシーンと重ねるという。

まんしゅう:「バルス!」の後に落ちていくシーンで、私がピースをしているのがポイントなんです。最初は落ち込んだ表情で落ちていくだけだったのですが、ピースさせたほうが面白いなと思って、書き直したんです。

――まんしゅうさんが一番好きなエピソードはどれですか?

まんしゅう:キャバクラに行く話です。アルコール依存症治療中に、以前泥酔状態で記憶がないときに寄ったキャバクラに行って、知らないお爺さんの接客をすることになったエピソードですね。

――あのとき、治療中にも関わらずお酒を飲んでいましたが、記憶は飛ばなかったんですか?

まんしゅう:ちょっとだけなくなっています(苦笑)。すごい勢いでお爺さんに向かってしゃべって、ポカーンとした顔で見られていたことは覚えています。でも、どうやって帰ったのかは…。

――覚えていないと(笑)。この本について特に弟さんはどのように言われていますか?

まんしゅう:面白かったと言ってくれました。彼は登場頻度が高いのですが、身内でしかできないような辛辣な指摘をしてくれるので…。時としてそれは心をえぐられるくらい厳しいものもあるのですが(苦笑)、そこまで的確に言ってくれるのは姉弟だからこそだと思うので、ありがたいです。

――『アル中ワンダーランド』をどんな人に読んでほしいですか?

まんしゅう:落ち込んでいる人に読んでほしいです。もし落ち込んでいる人がいて、クスッとしたら、それってすごいことじゃないですか。一番ハードルが高いと思うんですよね。このマンガを見て、元気になってもらいたいです。

――読者の皆様にメッセージをいただければと思います。

まんしゅう:これが売れて、フェイクプレーンの動画のアクセス数が増えればいいなと思います(笑)。絶対この本を読んだら、クリスタルチューナーとフェイクプレーンを検索すると思うんですよ。それを通じて、宇宙への関心が高まったら嬉しいと思いますし、クリスタルチューナーが品切れにならないかなとひそかに思っています(笑)。

(了)


『アル中ワンダーランド』