2015年04月24日 11:51 弁護士ドットコム
グーグルが提供する地図サービス「グーグルマップ」で、皇居内の施設に「オードリー春日トゥース」などとイタズラ書きがされていた。皇居の中に某ハンバーガーチェーン店が表示されたり、警視庁のビルに「サティアン」などといった表記が表れ、ネット上で話題が沸騰した。
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グーグル広報は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「不適切な場所情報がグーグルマップに表示されたことについて、ご迷惑、ご心配をお掛けしたことをお詫び致します。グーグルマップには、ユーザーから新店舗の開業や既存店舗の移転等に関する場所情報が寄せられていますが、その大多数は有益なものです。グーグルマップでは、不正確な場所情報の検出、防止、対応を強化してまいります」とコメントした。
ただ、今回がグーグルマップが技術的に乗っ取られたというわけではなく、「グーグルマップの機能を利用したスパム行為」なのだという。グーグルは調査・対応を継続していくそうだ。
多くの人が利用するサービスに対する悪質なイタズラと言えそうだが、こうした行為は、犯罪にならないのだろうか? ネット上の法律問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。
「今回のような行為は、『偽計業務妨害罪』という犯罪にあたると思います」
清水弁護士はこう語る。いったいどういう犯罪だろうか?
「典型的な『偽計業務妨害』は、他人をだまして業務の邪魔をするような行為です。ただ、その方法は、計略・策略など、幅広い不正な手段を含むと考えられています。
理論上、業務妨害は、通常の業務に支障を与える可能性があれば、成立します。
しかし、そうすると、なんでもかんでも業務妨害になってしまうので、実務上は、具体的に何らかの支障を生じさせた場合などに限定して、適用されています」
グーグルマップへのイタズラ書きによって、グーグルの業務に何か支障が生じたといえるだろうか?
「地図にウソ情報を書き込むということは、ふつう想定されているサービスの利用方法ではありません。
地図にウソの情報が書き込まれた場合、グーグルはその情報が本当かどうかをチェックして、削除して回らなければなりません。
こうした、よけいな事務作業を発生させた時点で、通常の業務に支障を与えていると言えるのではないでしょうか」
清水弁護士は、こうしたイタズラで、地図上に書き込む内容によっては、他の問題も生じうるという。
「今回の機能を悪用すれば、グーグルマップ上に、どのような言葉でも表示させられるようです。
そのため、たとえば他人や店の名前と『詐欺師』などといった言葉を並べて書いておけば、名誉毀損の問題になってくると思います。
また、仮に『アイドルAの自宅』などと書き込んで、有名人の自宅住所をさらせば、プライバシー侵害にもなってきます。
そんな書き込みをすれば、相手に訴えられて損害賠償という話にもなりかねません。安易なイタズラは絶対にやめましょう」
清水弁護士はこのように警告していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
IT法務、特にインターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定に注力しており、平成24年には東京弁護士会の弁護士向け研修講座の講師を担当し、26年にも同様に講師を担当している。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp