これまで「同じ仕事をしているのに時給が安い」「正社員の仕事まで任されている」といった不満の声も多かったパートタイマー。こうした状況を改善しようと、2015年4月1日から「改正パートタイム労働法」が施行されている。
おおまかに言うと、パートタイム労働者に対して「差別的な待遇」を禁止する改正内容だ。違反が認められる場合は厚生労働大臣から指導が入り、従わない場合には企業名の公表や、過料が科されるという厳しいものになっている。
「賃金制度」「正社員転換措置」の説明も義務に
政府インターネットテレビでは3月20日に公開した動画で、今回の法改正のポイントを解説している。ツイッターではこの動画について2800もの投稿があり、注目の高さがうかがえる。
動画の中で厚生労働省の担当者は、法改正の目的についてこう説明する。
「パートタイム労働者の待遇を働きや貢献に見合ったものとし、納得して働いていただくための、一層の環境整備を図ることにあります」
改正前の法律では、契約に期限があるパートタイム労働者については、正社員との差別的取扱が禁止されていなかった。
しかし改正後は「職務の内容」と「人材活用の仕組み(人事異動など)」が正社員と同一であれば、有期労働契約を締結していても、差別的取扱が禁止されることになった。
そのため事業主は、パートタイム労働者を雇用する際に「賃金制度」「教育訓練」「福利厚生施設の利用」「正社員転換推進措置」の内容について、説明する義務が新たに設けられた。
さらに雇用者から説明を求められたことを理由に、解雇などの不利益な取扱をすることを禁じている。
悩んだら「都道府県の雇用均等室」に相談
事業主にこうした義務を課すことで、パートタイム労働者はより「公平感」や「納得性」をもって働くことができる。さらに、この義務の「実効性」を高めるため、各都道府県の労働局雇用均等室が、労働者からの相談を受け付けるという。
「自分たちが一生懸命働いているのに、その待遇や賃金が、正社員と均衡が図られていない、というような疑問がありましたら、その解決の糸口を提供することができますので、ぜひ雇用均等室にご相談いただければと思います」
こうした相談を受けて、同室では実際に事業主を訪問し、改善措置についての報告を求めたり、違反を是正したりするよう指導を行うという。
さらに法改正で実効性を高めるため、違反について指導勧告を行っても事業主が従わない場合は、事業主名を公表できるようになった。虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料が科せられることも、新たに定めている。
この法改正はツイッターなどでも、「いい流れができつつあるようですね」と概ね好意的に受け止められている。その一方で「『正社員並みの仕事ではない。』と言われてしまえばどうにもならない点が不満」と、現場における実効性を疑問視する声もある。
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