若年層の正社員化や人材不足対策などの雇用分野の課題推進に向けて、国(厚労省)が設置する「ハローワーク」と、東京都が運営する「東京しごとセンター」などの就職支援機関が連携を強化する。
これまで現場レベルではサービスに関する情報共有などを行っていたが、国と都がそれぞれ行ってきた支援情報をワンストップで提供するのは初めての取組み。緊密な連携によって、より総合的な雇用対策を実施していくという。
「不本意非正規」に一体的な就職支援
これは東京都と厚労省が、2015年4月21日に発表した事業計画によるもの。2月に締結された東京都雇用対策協定にもとづいて、国と都がどのように連携・協力するかを具体的に定めている。
今回の事業計画で特に力を入れるのは、「若年層の雇用対策」と「人手不足業界の人材確保対策」だ。総務省の調査によると、労働者全体の3分の1以上が非正規雇用者だが、その割合は15~24歳の若年層で32.3%と特に増加している。正社員で働ける機会がなく仕方なく非正規で働く「不本意非正規」の割合も高い。
一方で都内の人手不足は進んでおり、東京都の有効求人倍率(2013年平均)は1.57倍で、全国平均の1.09倍を大きく上回っている。特に介護、保育、看護といった社会保障分野や東京オリンピックを控えた建設分野などでは、有効求人倍率が5倍近くに跳ね上がる。
こうした状況を改善するため、東京しごとセンター内に設置されているハローワーク若者専用窓口(U-35)との連携を強化し、「継ぎ目のない一体的な就職支援」を実施するという。
また東京都と厚労省の東京労働局が共催で就職面接会を実施したり、双方がそれぞれ行っていた就職支援への案内・誘導などを、一体的に行えるようにする。
担当者「より利便性の高い適切なサービスを提供」
このほか正社員化促進策として2014年から東京しごとセンターが開始した、職務経験のない20代が企業内実習を経て正社員での就職を目指す「若者正社員チャレンジ事業」について、ハローワーク(国)も引き続き連携する。
人手不足分野については、これまで都が「ナースプラザ」などでそれぞれ行ってきた就職支援について、求人情報などをハローワークと共有する。求職者に対するきめ細かな職業相談・紹介を可能にし、事業主に対して人材確保の支援を行う。
これによって、片方の窓口でも多くの求人情報を提供できるようになり、求職者にとっても利便性が増す。また企業側も、より多くの求職者と接する機会が増えるという。東京都・産業労働局の担当者は、
「これまで現場レベルではサービスなどについて情報共有をしていたが、国と都が全体で『連携する』というのは初めてのこと。これまでは、それぞれの機関に聞かないと分からなかったものを、一体的にサービスを提供できるように努めていく。より利便性の高い適切なサービスを提供できればと思う」
と話していた。
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