4月18日(土)深夜23:10から放送された新番組「さんまのお笑い向上委員会」を観た。テレビウォッチャーとしては、これがまた素直に面白い番組として評価できる一方で、フジテレビ側の現状を垣間見ることもできて、なんとも不思議な番組だった。
深夜帯の放送にもかかわらず、MCには明石家さんま、出演する芸人は今田耕司に大田光、堀内健など、中堅どころが初回から勢揃い。出演陣が出演陣なので冒頭からまとまりもなく、それぞれが暴走気味にギャグを披露していく。
さんまもそれに乗っかって笑いを倍化させるのだが、これが最高に巧みで面白い。「視聴者が頭を空っぽにしてから観る深夜の番組としては最適」というのが初見の感想だ。
「ひさびさにテレビらしいテレビ番組」の評もあるが
ネットにも、同番組を視聴した人々の感想を見ることができる。幾つか引用する形で紹介したい。
「ひさびさにテレビらしいテレビ番組を見たような気がします」
「さんまの笑いが好きなひとにはたまらないでしょうが、そうでないひとには……」
「低視聴率にあえぐフジテレビが選択した『番組作りを放棄する』という選択肢、この番組が成功しても失敗してもフジテレビとしてはどうなんだろうなぁ。いや、めちゃくちゃ面白いんだけどね」
おおむね番組そのものは面白かったけど、不安点への指摘もある感想も目立つ。同番組が「番組作りの放棄」をしている意見。確たる証拠はないけど、僕も近いものを感じた。
それはスタッフがさんまに頼りっきりなのに、肝心のさんまが脱線してもずっと笑っている点。そしてスタッフが笑っているその様子を、延々放送していた点。
つまりフジテレビは「さんまさんに任せてればOKだし、収録長引いても極力カットせず、何週にも渡って放送すればいい」と思っているのではないか? ということをいち視聴者である僕たちに思せているということだ。
初回ゲストの「流れ星」は喋らずに終了
その割を食ったように見えたのが、収録中ずっと裏に控えていたお笑いコンビの流れ星だ。イマイチ弾けないこの流れ星を初回のゲストとして迎え、お笑いの質の向上を促すという筋書きがあったようだ。
しかし結局、初回ではとっ散らかったままエンドロールが。お笑い芸人を呼んでおいて喋らせないとは、随分残酷だ。
率直に言えば、流れ星に次週に引っ張るほどの牽引力はない。事実、用意された次週予告映像には、キャイ~ンのウド鈴木が出ずっぱり。流れ星の姿はなかった。
次週への牽引力がないと分かっているなら、やっぱり初回のラスト数分だけでも編集して出しておくべきだったと思う。いや、あるいは次週放送分を見れば、流れ星に対する残酷な待遇が納得出来るオチが待っているのかもしれないけど……。
でもなんだかんだ主演者も豪華な新番組だし、流れ星の扱いも気がかりなので、とりあえず次週もチェックするつもりだ。
スタッフが映っているシーンは個人的に要らない
ということでこの番組、初回から面白いエッセンスがしとどに出ているのは好印象だったんだけど、一方で要らない部分も目に付いた。これは主観なんだけど、視聴者からするとフジテレビのスタッフが映ってるシーンは要らない。
出演者が時間帯にそぐわないほど豪華な顔ぶれなんだから、彼らのことをもっと観ていたいのに、何故か番組の収録スタートの時点でカメラが捉えるのが、笑顔ではしゃぐ関係者たちなのだ。
フジテレビって、昔っからこういうところがあるよなぁ。正直、フジのお笑い番組は平気で「誰これ」と視聴者が思っちゃうような制作側の人間を出すし、そういう人が主軸の企画を内輪で盛り上げることが本当に多いんだよね。そこがちょっと残念! まあ「番組作りは放棄してませんよ」という言い訳なのかなあ。(文:松本ミゾレ)
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