2015年04月21日 12:01 弁護士ドットコム
俳優の堺雅人さんが、ブレイクする前に「真っ裸の美術モデルをやっていました・・・」と告白した。「おしゃれイズム」(日本テレビ系、4月12日放送)のゲストとして招かれた堺さんは、1人の美術大生のために約3時間、一糸まとわぬ姿で、デッサンのモデルになったことがあるそうだ。
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番組では「大事なところが(平仮名の)『し』と描かれていた」とも発言しており、局部も露出していたとみられる。見ず知らずの人の前で全裸になるのは「公然わいせつ罪」ではないかとも思えるが、絵画という芸術目的ならば、他人の前で「ヌード」になっても問題ないのだろうか。松原祥文弁護士に話を聞いた。
「法的に問題になるとしたら、そのモデル行為が、公然わいせつ罪になるかどうかでしょう。
公然わいせつ罪(刑法174条)は、『健全な』性秩序ないしは性的風俗を保護する法律です。『公然と』わいせつな行為をした者に、刑罰(6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料)を科します」
ここでいう「公然と」とは、どんな状態をさすのだろうか?
「『公然と』とは、『不特定または多数』の人が認識することのできる状態をいいます。よって、特定の一人や、特定の少数の人に対する場合は、『公然と』に当たりません。ただし、特定の一人に対する場合であっても、不特定または多数の人が認識できる状態であれば『公然と』にあたります」
では、同じ「ヌード』という行為であっても、アウトプットが「写真」と「絵画」と違っていた場合、問われる罪に何か違いがあるのだろうか。
「写真か絵画かといった表現手法や、行為者が堺さんだったかどうかは、問題になりません。あくまで『公然と』と言えるかどうかが、判断の分かれ目です」
堺さんの場合は、美大生のための芸術目的での「ヌードモデル」だったということだが、どう考えればいいのか?
「絶対に他の人が認識することのできない状態で、特定の少数の人がわいせつな行為をしたときは、公然わいせつ罪にはあたらないと考えられます。
一方で、特定の少数の人が、不特定または多数の人が認識することのできる状態で、わいせつな行為をしたときには公然わいせつ罪になると考えられます」
密室での「1対1」や美術サークルなどの「少数の人」がヌードモデルを目にしても、罪に問われない。しかし、もしそこに、多数の観客が同席していたら、「公然わいせつ罪」に問われてしまうというわけだ。
「堺さんの場合は、絶対に他の人が認識できない状態で、一人の人に対して行われていたので、公然わいせつ罪にあたらなかったと考えられます。
他方、不特定または多数の人が認識できる状態においてされる『ヌード撮影会』は、摘発される可能性も出てくるでしょう」
松原弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
松原 祥文(まつばら・よしふみ)弁護士
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