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GP2デビュー戦を終えた松下信治、今季「3勝、4勝は絶対にしたい」と宣言

2015年04月20日 18:00  AUTOSPORT web

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デビュー戦の週末を終えて、今季への手ごたえを語ってくれた松下
GP2バーレーンの決勝レース2は4月19日、午後2時15分スタートで行われた。昼間の暑いコンディション下では、23周のスプリントレースでもリヤタイヤを保たせるためのマネージメントが鍵になる。そのため全車が新品に近いミディアムタイヤを履いてレースに臨んでいた。

 10番グリッドからスタートした松下信治は、好加速で8番グリッドの僚友ストフェル・バンドーンに並びかけ、ターン1では大外から一気に6番手までジャンプアップを果たした。

「スタート加速も良かったし、ターン1でアウト側に行って10番手スタートから6番手までアップしました。その後は長いレースですから、序盤は前のヤツらがバトルをするなと思ったんで、僕はタイヤをマネージメントして、彼らのタイヤにダメージが来たところで抜きにいこうと思っていました」

 上位はジュリアン・リール、ミッチ・エバンス、リオ・ハリアント、ロベルト・ヴィソユの順で、3周目にはファステストラップを記録した松下が5番手に浮上。7周目にはハリアントがトップに立ち、10周目にはエバンスがターン8でヴィソユと接触して左フロントをパンクさせて後退するなど、序盤から激しいレースとなった。

 松下はさらに順位を上げ、10周目にはリールをパスして3番手へ。14周目にはヴィソユを抜いて2番手まで浮上した。その後ろにバンドーン、アレクサンダー・ロッシといった実力者たちが続く。

 しかし徐々に松下のタイヤがタレ始め、17周目にはプッシュを開始したバンドーンがDRSを使って松下の前へ。そこまで松下に2秒程度のギャップを開けて走り、タイヤを壊さないよう労って走っていたバンドーンの巧さが光った。さらにペースがガクンと落ちた松下はロッシ、ナタナエル・ベルトンらにも次々と抜かれ、最後にはリールにも逆転を許して、6位でレースを終えることになった。

 レース序盤の攻勢でトップに立ったハリアントは、その後タイヤマネージメントに徹し、危なげなく首位のまま23周を走り切ってチェッカーを受けた。カンポスが今季から得たばかりの新造モノコックの利点を活かし、GP2参戦4年目にして初優勝を挙げ、インドネシア国歌を響かせた。2位にはバンドーン、3位には最終ラップでロッシをパスしたベルトンまでが表彰台へ。

 松下はタイヤマネージメントのミスが悔やまれると振り返る。

「アタックするのが少し早く、前半に少しタイヤをいじめすぎてしまいました。そのせいで後半は全然グリップが残っていなくて、6位まで落ちてしまった。タイヤマネージメントが次のレースでの課題ですね。ストフェルは『ペースが上がらないのかな?』っていうくらい後ろでずっと待っていましたし、あのくらいのマネージメントが必要なんだなと、すごく勉強になりました」

 レース中盤までは表彰台も意識していたという。

「途中までは『このまま行けるかな、表彰台に乗れるかな』と思ってたんですけどね……。2番手まで上がってからのコントロールを、もっとジェントルにやれていれば表彰台には乗れたのかなと思います。でも、そんなに難しいことではないかなという感触もつかめました」

 デビュー戦のバーレーンで予選2位、レース1ではスタートで後退したものの6位まで挽回(ペナルティで10位)、レース2では攻めすぎて6位。「2レースとも表彰台に乗れたと思うし、もったいなかった」と言う松下は、今後に向けて手ごたえをつかめたようだ。

「コースに慣れさえすれば、予選でちゃんと前に行き、決勝でタイヤをマネージメントすれば良い結果が出せるかなという気がします。予選で前に行くのが大前提ですね。予選で後ろだと、もう(決勝はトラフィックの中で)タイヤを使う量がハンパないですから。予選で速さを見せれば速さのアピールにもなりますからね」

 その点については、チームメイトのバンドーンから学ぶことも多いだろうと松下は言う。速さとか攻撃的なセンスでは「全然負けていないと思う」と言い切るが、繊細にコントロールするセンスを兼ね備えている点は「学ぶことばかりだし、いまの時点で彼に勝っていることなんてありえない」と素直に認める。バンドーンの技術を盗み、「シーズン後半に一気に上げていきたい」と語る。

 GP2参戦初年度の目標を尋ねると、松下は当たり前といわんばかりに自信を持って即答した。

「結果で言えば、3勝、4勝は絶対にしたいです。レースの内容としては、今週末で自分たちに勝負できる速さがあることはわかりました。予選では、絶対に5位以内に入って常に良いレースをしたいですね。そうすれば成長も早いだろうし、コンスタントにトップ5には入っていたいと思っています。その手ごたえも、つかめました」

 そして、F1へのステップアップも明確に意識している。

「4歳からカートをやって来て、(ミハエル)シューマッハーが憧れだったんですけど、その頃からF1で勝つことしか考えてません。今シーズン自分が掲げる目標を達成できれば、F1も見えてくると思います。すべては自分次第だと思っているし、自分次第で、どこにでも行けると思います。チャンスはそう多くないと思うけど、これから頑張って作っていきますよ!」

 初めてGP2でレースを戦った週末を終えて、松下は力強く語った。

(米家峰起)