トップへ

見えなかった“らしさ”。小林可夢偉、スーパーフォーミュラ初戦は「悲惨」

2015年04月20日 10:00  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

スーパーフォーミュラ開幕戦を「悲惨ですね」と総括した小林可夢偉
「悲惨ですね」

 スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿の決勝を終えた小林可夢偉による、自身のレース総括だ。予選ではサスペンションにトラブルを抱え、まさかのQ2敗退となった可夢偉。10番手からの追い上げを期した19日の決勝レースも、スタートから歯車の噛み合わない展開が続くこととなった。

「予選から流れが悪くなって、スタートはまさかあんなことになるとは思っていなかった。『なぜ自分の前だけ?』と思いましたね」

 決勝のスタートは良好に動き出した可夢偉だったが、目の前の8番グリッドにつけていた国本がエンジンストールし、それを避けようとして自らもアンチストールが作動。オープニングラップでふたつ順位を落とし、12番手となる。その後、当初の計画通り9周目を終えたところでライバルに先駆けてタイヤ交換と給油を行い、前方がクリーンな状況で最後まで走り切る作戦を採用。終盤は11番手につけ、最終周で前方の2台がストップしたため、最後は9位でチェッカーを受けた。

「鈴鹿で、あの(スタート)ポジションであんな事が起こってしまうとかなり厳しい。タイム的にも僅差のレースなので、そう簡単には上がれないですね。初めてのレースで、周りの駆け引きやタイヤのもち方も分からない部分もあり、(色々なことが起こるのは)ある意味想定内ですけど、想定外のことばかり起きて悲惨だった」

 そう可夢偉が振り返る今回のレースだが、見ているファンにとっても当然、物足りない一戦となった。もちろん、物理的な時間不足によるエンジンやタイヤも含めたSF14のパッケージの習熟など不利な状況もあったが、リザルトだけでなく、レース内容的にも“可夢偉らしい”シーンを見ることができなかったからだ。

 予選順位の結果からも、決勝で上位を狙うには他車とは異なるやや奇襲めいた戦略を採らざるを得ないのは理解できる。ただ、それでもレースでは伊沢拓也や野尻智紀にオーバーテイクされる場面が目立つ結果になってしまった。真っ先にピットインしているためタイヤマネジメントに徹していたという面はあるにしても、可夢偉の持ち味とも言えるアグレッシブな走りや、観客を沸かせるシーンを見ることはできず、むしろ、可夢偉が繰り返し言葉にしていた「スーパーフォーミュラは甘くはない」という難しさが際だった形となった。

 可夢偉自身は、今後に向けての目標を「早く結果を残すことだと思いますが、そこまで行く道のりでやることはいっぱいある」と語る。次戦の舞台となる岡山は、昨年12月のSF初走行も含めるとここまで合計4日間と、可夢偉にとってはスーパーフォーミュラでの走行経験がある数少ない国内サーキット。可夢偉自身も岡山に向けて「ここ(鈴鹿)よりはいい状態で行けると思う」と語るように、岡山ではいつものアグレッシブな可夢偉らしい走りを見せて欲しいところだ。

 可夢偉にはリザルトだけでなく、今回のレースで優勝したアンドレ・ロッテラーのような力強いレース内容、そしてコース上での圧巻のパフォーマンスが期待されている。それが、可夢偉の提唱するレースの「ストーリー」性や、「国内レースの盛り上がり」に直結していく。国内に復帰した今季、いちドライバーとしての役目を超えて、可夢偉の担う役割は大きい。