2015年F1第4戦バーレーンGPは19日、バーレーン・インターナショナル・サーキットで57周の決勝レースが行われ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが今季3勝目となる通算36回目のトップチェッカーを受けた。
予選を圧倒的な速さで制した王者ルイス・ハミルトンに対し、金曜日のロングランでメルセデス勢と互角以上のペースを見せたフェラーリ。『シルバーアローvs跳ね馬』という2強の対決構図となった日曜日の決勝は、レースを掌握したハミルトンが結果的には逃げ切るかたちとなったが、最後の最後でフェラーリが一矢報いるドラマチックな幕切れとなった。
スタートではホールショットを奪ったハミルトンがリードを奪い、序盤のレースをリード。一方、2番グリッドのセバスチャン・ベッテルは好スタートを決めたニコ・ロズベルグをなんとか抑えることに成功するが、一旦4番手までポジションを落としたロズベルグに8周目の1コーナーで2番手の座を奪われると、1回目のピットストップでアンダーカット(ライバルよりも先にピットインして新しいタイヤに交換し、新しいタイヤの性能を活かしてライバルよりも前に出ること)を成功させるも、再び翌周の1コーナーで逆転を許す苦しい展開を強いられた。
レースはトップのハミルトンをロズベルグが追走。3番手ベッテルはその後もコースオフして一気に2秒近くタイムを落とすなど徐々にトップから離され、中盤30周目にはハミルトンとの差が9秒に拡大。さらにベッテルは2回目のピットストップで再度ロズベルグをアンダーカットするも、アウトラップの最終コーナーでコースオフするミスを犯して3番手にドロップ、フロントウイングの交換で緊急ピットストップとなったベッテルはウイリアムズのバルテリ・ボッタスの後ろ5番手でコース復帰となってしまう。
しかしフェラーリ陣営は、ベッテルと異なるタイヤ戦略を採った4番手のキミ・ライコネンが、レース中盤はハミルトンから13秒ほど後方ながらミディアムタイヤでソフトタイヤを履いた前3台とほぼ同ペースで周回。この日最後となる2回目のピットストップもメルセデスから6周遅れの40周目に行うと、最終スティントはソフトタイヤで猛プッシュを仕掛け、ミディアムを履くメルセデスより1周2秒速いペースで周回。約20秒あった2番手ロズベルグとライコネンの差は瞬く間に縮まっていった。
残り10周の時点で2番手ロズベルグとライコネンの差は約7秒。それ以降はライコネンのペースもやや鈍ったが、それでもメルセデスより1周1秒近い速さで追いかけ続けたライコネンは残り3周でロズベルグの背後約1秒にまで迫った。
すると、残り2周となった56周目の1コーナーでロズベルグのブレーキにトラブルが発生! コースオフしたロズベルグをフェラーリが抜き去りついにライコネンが2番手に浮上すると、さらに5秒前を走るハミルトンにも最終ラップでBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)の不具合が生じ、ライコネンに大逆転の可能性が生まれた。
しかし、緊急事態にも冷静さを失わなかったハミルトンは最後の1周を慎重に走りきってそのままトップチェッカー。フライアウェイ最後の一戦を見事勝利で締めくくった。
2位は驚異の追い上げをみせたライコネンがわずか3秒差でフィニッシュ。開幕3戦は不運などからベッテルの影に隠れていたライコネンだったが、今季初の表彰台はフェラーリはもちろんメルセデスにとっても強烈なアピールとなった。ブレーキトラブルに泣いたロズベルグは3位。終盤、ボッタスにプレッシャーをかけ続けたベッテルは、最後までウイリアムズを攻略することができず、まさかの5位に終わった。
注目のマクラーレン・ホンダは、予選でマシントラブルに見舞われたジェンソン・バトンが欠場。トラブルの原因となったパワーユニットの交換するなど、レース直前まで修復作業が行われたが、最終的にチームは欠場の判断を下した。
ただ、予選でチーム初のQ2進出を果たして14番手からスタートしたフェルナンド・アロンソは、トップから1周遅れとなったものの入賞の10位フェリペ・マッサに3秒差の11位でフィニッシュ。ポイント獲得まであと一歩と健闘をみせた。
なお、10位のマッサはスタート前のレコノサンスラップでスタートすることができず、ピットスタートから挽回。また6位のダニエル・リカルドもチェッカー目前でエンジンが派手にブローしたが、なんとかフィニッシュラインまでたどり着き、事なきを得た。