ベライゾン・インディカー・シリーズ第3戦ロングビーチ、18日に行われた予選はペンスキーのエリオ・カストロネベスがポールポジションを獲得。同じチームのファン・パブロ・モントーヤが2位につけ、名門チームのベテランふたりが最前列に並んだ。佐藤琢磨(AJフォイト)は20番手から決勝に挑む。
シリーズ第3戦のロングビーチは今年2回目のストリートレースだ。天候は金曜から快晴。暖かでカラッと乾燥した非常に過ごしやすいコンディションのもと予選が行われた。
金曜のプラクティス1ではスコット・ディクソン、トニー・カナーンの順でチップガナッシ・レーシングが1-2。しかしプラクティス2ではペンスキー勢がトップ3を独占し、予選日午前中のプラクティスもペンスキーがシモン・パジェノー、エリオ・カストロネベス、ウィル・パワーの順でトップ3を独占した。
対するホンダ勢はプラクティス1ではライアン・ハンターレイ(アンドレッティ・オートスポート)が3番手につけたが、プラクティス2ではグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)による7番手が最高。プラクティス3ではレイホールが6番手で、2セッション連続のホンダ陣営トップとなった。ここでも彼らはマシンを素早くコースにマッチさせることでシボレー軍団に後れをとっている印象だ。
佐藤琢磨(AJフォイト・レーシング)はプラクティス1が18番手、プラクティス2が21番手。新エアロキット装着マシンをロングビーチ向きに仕上げることができずにいた。プラクティス3でも状況を大きく変えることは叶わず、苦しい状況のまま予選を迎えることとなった。
予選第1セグメントのグループ1は順当な結果。トップは2006年にセバスチャン・ブルデーが記録したコースレコードを打ち破る1分6秒7442を出したカナーンで、以下ハンターレイ、カストロネベス、ディクソン、昨年ここで3位に入っているカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)、そしてレイホールがトップ6だった。
グループ2では番狂わせがあった。ポールポジション候補の筆頭に見えていたパワーが第2セグメントに進めなかったのだ。セッション半ば過ぎにルーキーのステファノ・コレッティ(KVレーシング・テクノロジー)がクラッシュして赤旗が出され、そのまま10分間の予選が終了となってしまった。一番先頭のピットを使っているモントーヤはレッドタイヤ装着のアタックラップを赤旗前に終えていたが、2番手ピットを使っていたパワーは、なぜか時間をかけてアタックを行う段取りを踏んでおり、それが完全に裏目に出た。彼より後ろのピットを使いながら、レッド装着でのアタックを終えていたドライバーは少なからずいただけに、タイミングを逸した作戦ミスが悔やまれる。パワーの予選順位は18位。9列目という後方グリッドからレースを戦う羽目になった。
このグループでは、ほぼ最後尾ピットを使うセバスチャン・サーベドラ(チップガナッシ・レーシング)が2番手につける奮闘。パワーより3つ後ろのピットを使うパジェノーが3番手、ジョセフ・ニューガーデン(CFHレーシング)が4番手、セバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)が5番手、そしてマルコ・アンドレッティがコレッティの最下位転落……赤旗の原因を作ったらベスト2ラップ抹消によって、幸運にも6番手に滑り込んだ。
予選セグメント2では今週好調と映っていたカナーンが7位で、ファイナル進出を逃した。ホンダが期待を寄せていたレイホールも実力をフルに発揮できず8位。ロングビーチを得意としているはずのブルデーも9位でファイナル進出はできなかった。10位はアンドレッティ、11位はサーベドラ、12位はムニョス。
ファイアストン・ファスト6は、開始と同時に積極的に、しかも最初からレッド装着で走り出したカストロネベスが制した。6人のうち、すぐにコースインしたのは彼とニューガーデン、ディクソンの3人だけで、カストロネベス以外はブラックタイヤだった。残る3人は1周か2周のアタックに一発勝負を賭ける作戦だ。
カストロネベスの先制攻撃が今回は成功した。第1セグメントでカナーンの出したベストを更新するラップをユーズドのレッドタイヤで打ち破り、新たなコースレコードホルダーとなったカストロネベスは、インディカー歴代4位となる自身42個目のポールポジション獲得を果たした。
琢磨もパワーと同じく、まともなアタックラップなしで予選を終えねばならなかった。かなりの周回を重ねたブラックタイヤでマシンのウォームアップや路面のチェックを行っていただけだったため、ブラックでのタイムがまったく良くなかった琢磨のグリッドは20番手だ。
今回初登場だったロッキー・モランJr.(デイル・コイン・レーシング)は、昨日のプラクティス2でムニョスと接触したアクシデントで左手親指を骨折。予選日の朝、プラクティス開始45分前にデイル・コインからの電話を受けたコナー・デイリーが18号車に乗っている。代打デイリーは予選21位だった。
(Report by Masahiko Amano/Amano e Associati)