メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが圧巻のアタックラップを披露し、4戦連続のポールポジションを獲得したバーレーンGP予選。なんと今季ここまで全てのグランプリで、ハミルトンがポールポジションを獲得していることになります。最近では2011年に当時まだレッドブルに在籍していたセバスチャン・ベッテルが、開幕4連続ポールを記録していますが、その時に匹敵もしくはそれ以上の速さ・強さを、ハミルトンは発揮しているように感じます。
さてしかし、決勝レースもハミルトンが圧勝できるとは限りません。今季からフェラーリに移籍したベッテルが、予選2番手とフロントロウに並んできたからです。
メルセデスAMGの2台が、フロントロウを独占していたら、今回もメルセデスAMG圧勝と言えたかもしれません。しかし、ベッテルはニコ・ロズベルグを凌駕して2番手。しかも、金曜日のフリー走行2回目の結果を見る限り、レースでのペースはフェラーリの方がメルセデスAMGよりも若干上か、互角といったところ。デグラデーション(タイヤの劣化による、ラップタイムへの影響)もフェラーリの方が小さいため、
フェラーリにも十分勝機があると見ています。
ベッテルが勝つために重要なことは、スタートで3番グリッドのロズベルグを前に出さないこと。ここバーレーンは奇数グリッドからのスタートが圧倒的に有利とされていますが、ベッテルがロズベルグを抑え、ハミルトンに食らいついてくことができれば、第2戦マレーシアGPに続いて、今季2勝目を挙げることは十分に可能です。逆にメルセデスAMGが勝つためには、スタートでベッテルを抑え、レース序盤に引き離しておくことが重要になります。いずれにしても、ハミルトン、ベッテル、ロズベルグ、そしてキミ・ライコネンの4人による、激しい優勝争いが展開されることでしょう。
上位4台の後ろには、ウイリアムズの2台が続きました。このポジションは、今季ウイリアムズの定位置。上位4台との差は大きく、後ろのマシンとの差も大きいため、チーム名と同士の戦いが、見所となりましょう。予選結果を見る限り、バルテリ・ボッタスがフェリペ・マッサを0.4秒も引き離しており、ボッタスの圧勝と見ることもできますが……ここバーレーンはマッサが得意としているサーキットのひとつ(2007年と2008年に優勝)。そう簡単には逃がさないはずです。
ウイリアムズの後ろには、レッドブルのダニエル・リカルドがつけました。リカルドのこのポジションも、今季の定位置といったところ。ウイリアムズには若干離されてしまうはずですが、なんとかこのポジションを守りたいところ。ただ、今回リカルドの後ろからスタートする2台には、注目しておいた方がいいかもしれません。
8番グリッドにつけたのは、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグです。フォース・インディアは今年、資金難の影響もあり、昨年用マシンを若干改良したクルマでシーズンを戦っています。そのためマシンの性能は低く、後方を争うことが多くなっていました。しかしこのバーレーンGPに限っては、速さを発揮していて、フリー走行2回目の結果から判断すれば、レースペースはウイリアムズにも匹敵するレベルにあると言えます。もちろん、燃料搭載量が少なかったのかもしれませんが、それでも今季ここまでのレースと比べ、雲泥の差とも言えるほどのポテンシャルを発揮しているのは事実です。
9番グリッドにつけたトロロッソのカルロス・サインツJr.にも注目です。サインツJr.は1発こそそれほど速くはありませんが、驚異的なレースペースを発揮する可能性があります。金曜フリー走行2回目、サインツJr.はソフトタイヤを履いて、14周にわたるロングランを実施しました。この時のデグラデーションが異様に小さく、しかもラップタイムの平均もそれほど悪くありませんでした。サインツJr.本人も「レースに関しては良い感触を持っている」と語っており、前述のヒュルケンベルグと共に、中団グループの台風の目となりそうな存在です。
その後方につけたロマン・グロージャンのロータス、セルジオ・ペレスのフォースインディア、さらにはその後方のザウバーの2台(フェリペ・ナッセとマーカス・エリクソン)のペースも悪くはなく、中団は大混戦の入賞争いとなりそうです。
そしてここに加わってきそうなのが、今季初めてQ1突破に成功した、マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソです。マクラーレン・ホンダのポテンシャルは、毎戦確実に向上しており、上位との差も日に日に小さくなってきています。今回のレースペースは、ザウバーのナッセやトロロッソとほぼ互角。デグラデーションの値が若干大きいのが気になるところですが、前方のマシン次第では、入賞も十分に狙える位置だと言えそうです。
19日(日)の24時(日本時間)に、バーレーンGP決勝はスタートします。メルセデスAMGが逃げ切るのか、それともマレーシアGPのようにフェラーリが逆転勝利を果たすのか? 後方の入賞争いも混戦が予想され、いずれにしても目が離せない一戦となりそうです。さて、どんな結末になりますでしょうか?
(F1速報)