4戦目にして、マクラーレン・ホンダが予選Q2に進出した。前戦中国GPのQ1ではトップから約1.7秒あった差が、バーレーンGPでは1.3秒に縮まっていたことを考えれば、実力でもぎとったQ2進出だと言っていい。
エリック・ブーリエ(レーシングディレクター)も「F1ではハードワークをこなすことで結果が出る。魔法は一切ない。だから、今日得られた改善は、才能にあふれた多くの人々による懸命な努力の賜物。本当にみんなよくやった」とチームを讃えている。
中国GPから2週連続開催のバーレーンGPでは、パワーユニットのハード面でほとんど変更はなかった。にもかかわらず、マクラーレン・ホンダが前進してきたのは、ホンダがソフトウェアを改善してきたからだ。
中国GPでは金曜日のフリー走行は良かったが、土曜日になると、その走りが再現できなかった。バーレーンGP開幕までの4日間、ホンダはデータを徹底的に見直した。そして、エネルギーのマネージメントがバーレーンのコース特性に適合し、ドライバビリティが向上したのである。新井総責任者も「バーレーンのサーキットに合わせて、いまあるパワーユニットの性能をきちんと使い切ることができた」と評価した。
もちろん攻めた結果、課題も残った。ジェンソン・バトンのマシンには金曜日に続いて土曜日も問題が発生し、コース上で止まってしまったからだ。マシンが止まった状況をバトンは次のように説明している。
「フリー走行3回目は良かった。でも、予選になってコースインしたら、大きな音がして、クルマの機能がすべてがシャットダウンした」
新井総責任者によれば「何が起きたのか、よくわからない」と言う。しかも「その原因が車体側なのかパワーユニット側にあるのかもわからない」という。したがって原因の究明には時間を要する可能性が高く、予選直後に開かれた会見では「残業申請するかどうかも含めて、いま作戦会議をしているところ」だと語った。
それでもバトンはこう言って、ノータイムに終わった土曜日の予選を締めくくった。
「マシンが止まってしまったことは残念だけど、フェルナンド(アロンソ)はQ2に進んだ。チームは確実に前進している」
バトンの言うとおり、1週間前の中国GPでチーム最高位が予選17位だったマクラーレン・ホンダは、バーレーンGPでは14位を獲得し、初めてQ2に進出した。小さな前進かもしれないが、チームにとっては大きな一歩となったに違いない。
(尾張正博)