4月17日放送の「バイキング」(フジテレビ系)で、ユニークな方法で主婦の声を集める「不満買取センター」を紹介していた。消費者から「不満」を買い取り、アイデアを必要としている企業に売って利益をあげている会社である。
不満を売る方法は、不満買い取りセンターのウェブサイトで会員登録し、SNSにつぶやくような手軽さで情報を投稿するだけ。登録料は無料だ。すでに1日5000件以上の声が寄せられているという。
1冊5400円の「不満コレクション」にまとめる
不満の買い取り価格は5円から、最高で25円。利用者の中には「1か月の飲み会代程度」を稼いでいる人もいるという。誹謗・中傷が過ぎると買い取ってもらえないが、商品名や会社の名前などが具体的であるほど、買取金額が高くなる仕組みである。
集められた不満は、「不満コレクション」という1冊の本にまとめて5400円から販売されている。1冊の本に1000個程度の不満が載せられており、美容、通販、不動産など各ジャンルに分けて集められている。
中身を見てみると、「こんなのも不満に入るのか」という内容まで買い取ってくれるようだ。通販編では「服や靴は合わせてみないと分からない」という、通販の根本に関わる悩みが寄せられていた。
この不満に対しては、「コスチュームを事前に合わせて見られるようなサービスを提供できるのではないか」という仮説が立てられていた。他にも、普段から不満に思ってはいるものの、企業に直接届けることができないような意見が多かった。
「ネット通販の量は多すぎる、家族2人なので少量サイズを充実させてほしい」
「衣料などモニターで見た色より、実際に届いた商品の色が違っていたり、モデルさんが着ていた様子と明らかに違う」
「送料が高いのと手数料に取られてしまい、安いものを買っても全体的に高いものになることが多い」
森永卓郎氏「おじさん相手に商売する時代は終わった」
すでに世の新商品には、既存の商品の不満を解消するさまざまなアイデアが散りばめられている。「掃除機を出しっぱなしにするのがイヤ」「しまうと出すのが面倒」という意見を聞いた会社が、インテリアの一部となるオシャレさを徹底的に追求し、空気清浄機の機能付きの掃除機を開発する例もある。今や、アンケートや面談でヒヤリングした声なくしては、商品開発ができない時代になっている。
経済評論家の森永卓郎氏は、メーカーの開発現状について次のように語っていた。
「おじさん相手に商売する時代は終わった。主婦の声が企業の生き残りを握っている。メーカーも自分たちでアイデアを出し合っているが、商品開発で行き詰ったとき、主婦の声が突破口になるというケースが多い」
確かに商品やサービスを改善するためには、実際に利用している人の声を聞くことが早道だろう。しかし、日本人が得意な地道な「カイゼン」の積み重ねだけでは画期的な商品は作れず、かえってシンプルさを欠きゴテゴテした過剰機能の製品にもなりかねない。複数の不満を整理して、まったく新しい解決方法を生み出す発想力も必要となるのだろう。
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