「公式練習で3番手というのは上々な結果かなと思います」
スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿の土曜フリー走行終了後に行われた、今季の“ルーキー会見”(ベルトラン・バゲットとウイリアム・ブラーも参加)に登場した小林可夢偉は、3番手という走り出しのフリー走行の結果をそう振り返った。可夢偉はこの走り初めのセッションで、13年王者の山本尚貴、そしてディフェンディングチャンピオンの中嶋一貴につぐ3番手でセッションを終えていた。
「ただ、タイム差もとても小さくて、ちょっと失敗するとすぐに後ろに下がるという展開は本当にハイレベルな戦いだと思う。気を引き締めて予選に臨みたいと思います」と予選に向けて意気込みを語っていた。
迎えた予選では、Q1をトヨタ陣営のトップとなる5番手で終え、こちらもファンの期待を裏切らないポジションにつける。ただし、その後行われたQ2では、セクター4で全体ベストをマークしながらコントロールラインを通過したものの、結果的には10番手。Q2の上位8台が参加できるQ3への進出を果たすことはできず、Q2敗退を喫した。
実はこの時、可夢偉のマシンにはトラブルが発生していたのだという。
「残念ながらサスペンションのトラブルがあって、その状態で予選をやっていました」と可夢偉。予選Q1の時点でもマシンが曲がらない症状が発生していたが、問題は、データ上ではトラブルが見つからなかったこと。可夢偉もこれを「普通の状態」だと考え、乗り切っていた部分もあった。
Q2に向けてセットアップを変更したが、症状はおさまらず。そこで調べてみたところ、トラブルが見つかった。ただ、今回の結果については「(トラブルの割には)そんなに悪くはなかったのかなと、正直自分の中では思っています。トップを戦えるようなペースもなかったですし、初めて予選を戦って、非常にハイレベルでタイムも僅差だということが分かったので、すごくいい勉強になった」とあっさり。明日の決勝に向けては、スタートでもリスクは犯さず、まずは完走を目指したいのだと語った。
とはいえ、ファンが可夢偉に求めているのは“圧倒的な結果”でもある。可夢偉は今回の予選後、土曜日のフリー走行が1時間だけであることについて「不満ですね。単純に走って、『はい予選』みたいな、賭けみたいなところもあるじゃないですか。ドライバーが走って、次のセッションで良くなって、というストーリーがあるからファンも追いかけていくんじゃないかなと思いますが、今はあまりにもストーリーがなさすぎて、『なんかあのドライバー当たったね』とか、『あのクルマよかったね』とかそういうレベルで終わってしまう感じがある。ちょっと残念ですね」と語った。
可夢偉の言うストーリーはたしかに大事だが、少なくとも今の可夢偉に関してはファンが見たいのは、やはり、そうした困難な状況もはねのけてトップ争いをする姿だ。
予選でのトラブルによって上位とのギャップは広まってしまったが、これまで何度も逆境を乗り越えてきた可夢偉だけに、決勝のリザルト、そして内容で、予選でたまったファンのフラストレーションを吹き飛ばしてほしい。