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F1現地直送:ホンダ、パワーユニット大型アップデートはスペインGPより先の可能性

2015年04月18日 15:40  AUTOSPORT web

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パドックを歩くアロンソとバトン
バーレーンGP初日にパワーユニットに関する不具合によって走行が制限され、19位に終わったたジェンソン・バトン。だが、MP4-30が下位に低迷している要因は必ずしもパワーユニットだけが原因ではないと語っている。

「ダウンフォースも、まだトップチームほどのレベルに達していない思う」

 バトンは中国GPで新しいエンジンカウルとフロアを試したが「それでも、まだ十分ではない」と語気を強める。

 中国GPにマクラーレンが持ち込んだ新しいフロアはひとつしかなく、それをバトンが使用した。フェルナンド・アロンソは「これまでもよくあったことで気にしていない」と語り、さらにこう続けた。

「いまのマクラーレン・ホンダは残念ながら、まだトップを目指して戦うレベルには達していない。だから、どっちがナンバーワンで、どちらのドライバーが新しいパーツを優先的に使うかなんて言っている場合じゃない。いまはレースをしにサーキットに来ているんじゃなく、テストをやりに来ている。ファンにとっては理解できないかもしれないが、F1は世界で唯一、練習ができない特殊なスポーツだ。だから今年パートナーを組んだばかりの私たちにはグランプリの現場でテストすることが、とても重要なんだ」

 関係者によれば、バーレーンGPには新しいフロアがもうひとつ到着し、フリー走行2回目ではアロンソのマシンに装着されたという。バーレーンGPは中国GPから連続開催で、ほとんどのチームのマシンはアップデートされていない。そんな状況で、マクラーレンはフロアという大型パーツを投入。パワーユニットだけでなく車体側も一戦ごとに進化している。

 ドライバーふたりは「スペインGPで大きな改善が見られるだろう」とパワーユニットの進化に期待を寄せているが、ホンダの新井総責任者は「スペインGPに新しいスペックを投入するかどうかは、まだ決めていない」と言う。

「レギュレーションで制限されていない部分の進化は日々行っていて、そういう意味で新しいパワーユニットを投入する可能性はある。だが、それとまったく新しいパワーユニットを投入するというのは別の話。というのも、トークンを使用できるのは、すでに使用してしまったパワーユニットではなく、これから使用するものに限られる。それ(トークンを使用した技術)をいつ入れるのが効果的かは判断が難しい。あせってあまり早く入れても新技術による向上がほとんどなければ意味はないし、かといって時間をかけ過ぎるとシーズンが終わってしまう」

 新井総責任者は明言しなかったが、スペインGP後に予定されているテストで新技術を投入したパワーユニットを試し、パワーユニットの負荷が小さいモナコGPは飛ばして、第7戦カナダGPに新スペックが投入されるのではないかと予想される。

 だからといって新スペックが投入されるまでの間、何もしないわけではない。

「変更の届出が必要ない部分の改良は常に行っている。たとえばプラグを変えたり、オイルに改良を加えたり」(新井総責任者)

 パワーユニットも、車体も、いまのマクラーレン・ホンダは確かに100%の出来ではない。しかしアロンソとバトンは言う。「向かうべき方向は、はっきりしている」と。だから今日もふたりは前向きにパドックを歩いている。

(尾張正博)