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いよいよ開幕! 今季スーパーフォーミュラの注目ポイントをチェック

2015年04月18日 00:50  AUTOSPORT web

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いよいよ開幕を迎える今シーズンのスーパーフォーミュラ
2015年シーズンの全日本選手権スーパーフォーミュラが、いよいよ4月18日~19日に鈴鹿サーキットで開幕する。開幕戦の前に、観戦する上でポイントとなりそうな変更点をチェックしておこう。

“クイック&ライト”をコンセプトとしたSF14シャシーと、近年のダウンサイジングエンジンの潮流に沿った2リッター直4直噴ターボエンジンをという新たなパッケージを昨年から導入しているスーパーフォーミュラ。コーナリングスピードではF1に次ぐ速さを見せるなど、導入初年度からそのポテンシャルの高さを披露している。

 クルマ、タイヤ、エンジン、メンテナンスなどなど、日本発の高品質カテゴリーであるスーパーフォーミュラは、世界を戦うドライバーたちからも注目を集め、今年もエントリーリストには豪華な顔ぶれが揃った。その中でもひときわ話題となったのは、やはり小林可夢偉の参戦。名門KYGNUS SUNOCO Team LeMansから、12年ぶりとなる国内シリーズに挑むこととなる。

 もちろん、迎え撃つドライバーたちも強力なラインナップだ。昨年のチャンピオンでもある中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)や、チームメイトのアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)というWEC世界耐久選手権で世界を舞台に戦うドライバーをはじめ、13年チャンピオンの山本尚貴(TEAM無限)や、昨年はGP2シリーズを戦った伊沢拓也(REAL RACING)など、国内外のトップドライバーたちが名を連ねている。

 そんなトップドライバーたちが、ワンメイクシャシーのSF14で争うスーパーフォーミュラだけに、その戦いは常に僅差。また、昨年はホンダエンジンがトヨタエンジンに対して遅れを喫する状況となっていたが、今年のテストを見る限りではその差もかなり拮抗している様子。さらに熾烈な戦いが繰り広げられそうなスーパーフォーミュラだけに、ひとつの変更点が大きな差になって現れる可能性もある。

 そんな今シーズンの大きなポイントのひとつとして、持ち込みタイヤセット数に関する変更がある。昨年までは、レースウィークを通してタイヤは全5セット、うち4セットは新品を持ち込むことができたが、今年は全6セットと合計の持ち込みタイヤ数は増加したものの、新品タイヤは3セットまでしか持ち込むことができなくなった。残り3セットは、それまでのレースやテストで使用した中古タイヤとなる。

 たった1セット減っただけ、とも思えるのだが、この変更は各チームのレースウィークの動きを決定づける大きなポイントとなりそうだ。これについてP.MU/cerumo・INGINGの立川祐路監督は「フリー走行ではニュータイヤは入れられないですね。予選で最後(Q3)までいくつもりなので3本必要ですから」と解説する。

「なので、フリー走行はユーズドタイヤになりますが、その(持ち越しの)3セットも何本使うか。今回はどのチームもテストで皮を剥いただけのタイヤを3セット持ってきていると思いますが、それを使えるだけ使ってしまったら、次のレースは走りこんだタイヤでセットアップしなくてはいけなくなるので、持ち越しタイヤを何セット使い、何セットをさらに次に持ち越すかが難しい。ひとつのポイントかなと思います」

 ただ、伊沢はドライバーの立場からこのタイヤ制限について「ルールとしては絶対におかしいと思います」と疑問を語る。「少なくともフリー走行でニュータイヤを履けない状況は、ドライバーとしてもチームとしても疑問がある。例えば予選をQ2までにするとか、ニュータイヤを4セットに戻すとか、そういう手立てが必要。フリー走行でニュータイヤを履いて、しっかりとステップを踏んで予選に向けて進めていくことがドライバーやチームとしての力ですから」と話した。

 また、スーパーフォーミュラでは昨年から、F1やWECと同じく“燃料流量制限”の考え方を採用しているが、今年はこの制限にも変更が加えられ、燃料流量リストリクターが昨年よりも絞られる形となった。昨年、鈴鹿と富士では100kg/hとなっていたが、今年はこのふたつのサーキットで95kg/hに削減。その他のサーキットでは90kg/hとなっている。

 燃料流量が減らされることとなった一方で、スーパーフォーミュラならではの要素でもあるオーバーテイクシステム(OTS/1レース5回まで使用可能)のアシスト量に変更が加えられた。これまでは、OTSを使うと燃料流量が5kg/h増量。20秒間と一時的ながらアシストを受けることができたが、今年はそのOTS使用時のアシストが10kg/hに変更。もちろんこうしたシステムを使用しても最後はドライバー同士の腕のぶつかり合いとなるが、昨年よりもオーバーテイクや接近戦が生まれやすい状況になったとも言える。

 こうした変更がなされた今シーズンのスーパーフォーミュラ。これらのポイント頭に入れておけば、各セッションやレースでも、さらに一歩踏み込んだ楽しみ方ができるはずだ。