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「マックジョブに時給1500円」要求で議論 「これじゃ生活できない」「金額に見合う仕事なのか」

2015年04月17日 18:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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4月15日に東京・渋谷でファストフード労働者の公正な賃金を求める「世界同時アクション」が行われた。キャリコネニュースは現場を取材し、同日に記事を配信。配信先のYahoo!ネタりかでは300件近いコメントが寄せられた。

識者は「時給アップは雇用を減らす」と疑問視

コメント欄には「ファストフードのアルバイトの時給を1500円以上に引き上げろ!」という要求に対し、反発する書き込みが目につく。

「何いってんだ。あのくらいの仕事で1500円もらえるわけないだろ」
「責任も取らないバイトで1500円とかふざけるなよ。嫌なら正社員になれ」

ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏も、「マクドナルドの『時給1500円』で日本は滅ぶ」と題した記事で、デモの主張に対し「結論から言うと100%間違いだ」と断言。次のように理由を説明した。

・ファストフード店だけが賃上げをした場合、客が他の飲食店やコンビニに流れるため、ファストフードが壊滅する
・雇用が減る。高コストになるなら機械に置き換えようという事になる。実際にアマゾンでは機械化が進み人件費削減が進んでいる
・人件費が上がるとモノの価格も上がり、仕入れコストが高くなるため、海外から輸入するようになり国内の産業が空洞化する

したがって、「時給が低いから生活が困窮している、だから時給を上げれば生活は改善する」というロジックは成り立たず、「1500円の時給をもらうにはそれに見合った仕事をすれば良い、という以外に回答は無い」と結論づけている。

「高い時給の仕事は限られる」と反発も

その一方で、活動に賛成するコメントもあった。記事中の「時給1500円の仕事をGETすればいいだけ」というコメントに対し、このように反論する人がいた。

「バカは黙っててほしい。それが成り立つのは、世の中に時給1500円以上の仕事が、全労働者を雇用できるくらい豊富にある場合のみだから」

この読者によれば高い時給の雇用は存在するが、すべての労働者をカバーするほどは多くない。必然的に、低時給の仕事に就かざるを得ない人が発生する。そのような人たちの生活が保障されるためには「時給1500円くらいは必要である」という意見だ。

現在、東京都の最低賃金は888円。この賃金で週に5日、実労働7時間で働いたと仮定すると、週の収入は31080円。年収は約162万円になる計算だ。これでは確かにフルタイムで働いても年収200万円未満にしかならない「ワーキング・プア」となり、生活保護を受けた方がマシという考えも浮かんでしまう。

この意見に対しては、そもそもアルバイトはフルタイムで働く仕事ではなく、それで生計を立てようとすることが間違いとの声もあった。しかし正社員や契約社員の職が得られず、しかたなくアルバイトで働く人もいるだろう。

最賃の引き上げは「ブラック企業」を排除する?

なお最低賃金については、ファストフード業界に限らず引き上げるべきという意見もある。経営共創基盤の冨山和彦氏は、グローバル企業が今後、日本国内での雇用を減らす可能性がある中で、雇用の受け皿として「強いローカル企業」を育てることが重要とする。

しかし現状では、低すぎる最低賃金がいわゆる「ブラック企業」問題の一因にもなっており、最低賃金の引き上げは、「ブラック企業の排除」と「優良企業への雇用移転」を促す効果も期待できるという。

今回のデモは米国発の運動だったこともあり、ファストフード従業員という企業横断的な「職務別の運動」だった。今後は最低賃金をめぐり、バス運転手や介護サービス従事者の条件闘争が起こってくる可能性もあるのではないだろうか。

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