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F1現地直送:小林可夢偉、F1復帰への“就職活動”を追う

2015年04月17日 01:30  AUTOSPORT web

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今季はスーパーフォーミュラに集中か
F1中国GPの初日、上海インターナショナル・サーキットのパドックに、小林可夢偉のマネージャーの姿があった。3月19日のGP直送でも伝えているとおり、マネージャーが今季F1を訪れるのは開幕戦に続いて2度目だ。

 中国GPは日本GPに次いで、F1に関心を持つ日本のレース関係者が訪問する場所だ。それでも開幕3戦で2度もF1パドックを訪れた日本人ドライバーのマネージャーは、これまで見たことがない。つまりマネージャーの訪中は「可夢偉はまだF1をあきらめてはいない」というアピールと考えられる。

 可夢偉サイドは「今シーズンのレース活動はスーパーフォーミュラを最優先に考えており、7戦すべてに参戦する」と断言している。また、可夢偉はトヨタとWECチームのテスト兼リザーブドライバーとして契約。ただし、すでにレースドライバーは決定しており、可夢偉が実際レースに出場する可能性は少ない。そうなると現時点で可夢偉の予定が埋まっているのはスーパーフォーミュラだけで、F1との掛け持ちもありえない話ではない。

 F1シートをめぐる状況は可夢偉が去ったあとも好転はしていないが、その状況を常に把握しておくこともレーシングドライバーのマネージャーとして重要な仕事だ。

「ここには多くの仲間たちがいるので、F1の現状を第三者から聞くのではなく、自分の目と耳で確認しておきたかった」とマネージャーは語り、その上で「何かあれば、できるだけ対応できるよう準備を整えておくことも大切」と中国GP視察の理由を説明していた。

 上海で、可夢偉サイドは今季のF1シートについて交渉していたのではなく、今後に向けたリサーチをしていた可能性が高い。中国GPで可夢偉のマネージャーが接触していた相手はF1チームのトップではなく、この業界で長年仕事を続けている事情通の人物だった。

 いずれにしてもF1に戻りたければ、どんな形でもいいからF1の世界とパイプを築いておくというのが鉄則。パドックに入るためには特別なパスが必要で、まずそれを手に入れるためにもコネクションが必要なのだ。

 今後も可夢偉のマネージメントがF1を訪れる可能性は十分考えられるが、残念ながら、すぐに何かが動き出す可能性はなさそうだ。マネージャーがコースの外で仕事をするなら、ドライバーである可夢偉の仕事はコースの上にある。まず可夢偉には今週末に開幕するスーパーフォーミュラに集中してほしい。

(尾張正博)