舞台『草枕』が、6月5日から東京・三軒茶屋のシアタートラムで上演される。
同作は、劇作家・北村想が日本文学への敬意を込めてオリジナル戯曲を書き下ろす『日本文学シリーズ』の第2弾。画工の青年と彼が温泉宿で出会った女性・那美との会話や、那美の行動を客観的に描き、「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」という冒頭部で知られる夏目漱石の小説『草枕』をモチーフに、北村が那美と那美のモデルとされる女性・前田卓から得たインスピレーションを反映した作品となる。
主人公の画工を演じるのは、『日本文学シリーズ』第1弾の『グッドバイ』でも主役を演じた段田安則。物語の鍵を握る女性・那美役で小泉今日子が出演するほか、浅野和之、春海四方、山田悠介(D-Boys)がキャストに名を連ねている。演出は『グッドバイ』に引き続き、寺十吾が手掛ける。チケットは現在発売中だ。
■北村想のコメント
初期漱石の筆頭ともいえる『草枕』が、極めて心地よい文体加速度を持っていることを、私たちは舞台で実験してごらんにいれます。明治文学は「はやぶさ2」のごとく、未知への冒険をしていたのです。智に働けど角立てず。情に棹させど流されず。意地を通して窮屈な人の世を切り拓く。今度はそんな作品です。