新入社員が配属されて、2週間ほど経ったころです。右も左もわからず、先輩たちに教えてもらうことばかりだと思います。どういう人に教えてもらうかということも大切ですが、何より新人自身の態度も大切だと思います。
私がワタミに入社して3年目くらいの頃、ある店に異動になりました。店にはアルバイトの男子大学生のB君がいました。店で働き始めてから半年ほど。最初の印象は「本当に半年もやってるのかな」と疑問に思うくらい、仕事の覚えの遅い子でした。
シフトは週に3日ほど、1日6時間ほどの勤務で経験は十分にあるはずですが、それにしては初歩の段階だな、と不安に思っていました。
コミュニケーションの姿勢が「仕事のスキル」の差に
そんなある日、彼と同じ年齢の男性K君が、新しくアルバイトとして入ってきました。彼は物覚えもよく、私たちが教えたことをどんどん吸収していきます。そして1か月も経たないうちに、仕事のレベルでB君を追い越したのです。
この差は、どこでついたのでしょうか。初めは「仕事を覚える能力」の個人差だと思っていましたが、2人を見ていると別の部分の違いに気が付きました。もっとも大きな違いは「仕事を振られたときの態度」でした。
B君に仕事を振ると、「えっ? これもやるんですか。はぁ…分かりました」とやらされ感が強く、頼んだ方が不快になる態度を取ることが多いのです。私もだんだん話すのが億劫になり、仕事を頼んだり、新しいことを教えたりすることも減っていきました。
一方でK君は「これやっといて」「あれも頼むよ」と言ったとき、嫌な顔一つせず「はい、分かりました!」と元気に返事をします。そうすると見ていても気持ちがいいので、教える側が教えたくなるのです。
つまり、仕事を覚える能力というよりも、先輩とのコミュニケーションの姿勢の違いが、身につく仕事のスキルの差となって表れてくるということです。ひとりでコツコツやる仕事ならともかく、他人から教わったり、チームでやる仕事においては、大事な心がけだといえるでしょう。
将来の昇格や配属にも大きな影響を与える
B君のように教えても反応が悪いと、「彼に言っても仕方ないな。じゃあ同じことをK君に頼もう」と周りに思われてしまいます。B君には仕事の情報が入ってこなくなり、結果として孤立し「B君は仕事ができない」という立ち位置になってしまうのです。
こういう言い方をすると、「K君はこき使われているだけじゃないか」と思う人もいると思います。特にアルバイトは、同じ時給で働いているのですから、仕事はなるべくしない方が儲かるのかもしれませんが(笑)。
しかし、これが社員ということになると、その差は将来の昇格や収入にも大きく関わってきます。学歴などの制約を越えて、自分が希望する職種につきやすくなるかもしれません。いくら自分が望んでも、配属を決めるのは先輩や上司の評価なのですから。
キャリコネさんの記事の中にも「仕事のない窓際族がうらやましい」といった意見もありますが、できることを増やしておけば、結果的に将来の安定はより確実になります。
新人のうちは、誰もが同じスタートラインですから「ミスが許される新人のうちに、少しでも多くのことを教えてもらい、チャレンジすること」が大事です。仮にミスをしても「まぁ仕方ない。次は頑張れよ」となりやすいですからね。
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