入眠時に、まるで電気ショックでも受けたかのように頭の中で発せられる突然の大きな爆発・破裂音。同じ部屋で眠っている他の人には聞こえず、痛みなどといった症状もない。よってこの症状を理解している医師は極めて少ないとも言われているのが、「頭内爆発音症候群(英名:Exploding head syndrome)」である。
実はここ数年、筆者も2か月に1度の割合でこれを経験している。破裂音に先んじて、閉じた瞼にスクリーンセーバーにあるような渦を巻く光が出現することも多い。そのメカニズムの完全な解明はまだ先になるようだが、脳幹の背側部分に散在する網様体において、視覚がシャットダウンするタイミングと聴覚がシャットダウンするタイミングにズレがあるとそうした現象が起きるのではないかとみられており、その根底には神経の疲れやオーバーワーク、精神的ストレスがあるようだ。このたびの調査結果は医学ジャーナルの『Journal of Sleep Research』に発表されたが、頭内爆発音症候群というものが医学界においてもっと広く理解され、正しく診断されることを願ってやまない。