今季スーパーGTに参戦するアウディファクトリードライバーのクリスチャン・マメロウ 今季、スーパーGT300クラスは多くの強豪チームが集い、4月4日~5日の第1戦からハイレベルな戦いが展開されたが、そんな中で4位フィニッシュを獲得したのが、Audi Team Racing TechのRacing Tech Audi R8。細川慎弥とともにスーパーGTに参戦を開始したクリスチャン・マメロウにとっては、いきなり表彰台目前でのフィニッシュとなった。
マメロウはアウディファクトリードライバーとして、ニュルブルクリンクやブランパン耐久シリーズ等で活躍。スーパーGTでも難なくルーキーテストをパスし、緒戦から入賞を飾る活躍をみせた。マメロウは岡山の後、ヨーロッパに戻りブランパン耐久シリーズ第1戦モンツァに参戦したが、そこでスーパーGTの参戦への経緯と、開幕戦の感想を聞いた。
──スーパーGTにはどういう経緯で参戦することになったのですか?
クリスチャン・マメロウ(以下CM):アウディスポーツから、日本でアウディR8 LMSウルトラを使う新チーム設立があると言うことを聞かされて、「そのサポートドライバーとして参戦することに興味はあるか?」と聞かれたんだ。ふたつ返事で了承したんだ。
──日本での経験はまだ岡山でのスーパーGT公式テストと開幕戦だけですが、スーパーGTの印象は?
CM:GT500とGT300の混走はすごく面白いと思うよ。GT500はDTMと2017年にはレギュレーションが共通化されるから、本格的に日独の交流が盛んになると思うし、GT300はヨーロッパにはいないJAF-GT300マシンが参戦していて、バラエティ豊かでコンペティティブなレースだと思う。
──スーパーGTには、ヨーロッパにはないモラルハザードというシステムがありますが。
CM:特に気にしていないよ。プロのドライバーなら、危険なシチュエーションを避けるのが同然のことだからね。もし自分のクルマのボディが破損したらダウンフォースがなくなり、苦しむのは自分なんだから。
──ヨーロッパのドライバーにとって、日本のファンはある意味独特だと思いますが、どんな印象を受けましたか?
CM:まず、岡山のテストの時に日本の熱心なファンの皆さんにビックリしたんだ。早朝からきちんと列を作ってゲートが開くのを待ち、帰りはドライバーやチームを見送るまでサーキットにいてくれる。そんな経験は初めてだったから、感動したよ。とても礼儀正しく、サインにも『ありがとう』と言ってくれたし、ドライバーに対してリスペクトをしてくれているのが感じられたよね。
──スーパーGTは『タイヤ戦争』と言われているほど、タイヤが非常に重要な位置を占めていますが、それについてはどう感じましたか?
CM:ヨーロッパで主流のワンメイクとは違い、スーパーGTではタイヤが大きな影響力をもっている。まずはマシンをよく知らないと、それに合うタイヤチョイスやセットアップはできないからね。まだ僕のチームはすべてを新しく始めたばかりなので、これから色々なレースでタイヤチョイスやタイヤの使い方をみんなで学んでいくべきだと思う。ヨコハマタイヤはアウディR8用に開発を懸命にしてくれているので、R8の特徴に合うタイヤを一緒に作りあげていきたい。
──チームメイトの細川選手はどんなドライバーですか?
CM:過去にはGT500もドライブしていたし、スーパーGTではベテランドライバーなので、彼からはたくさん学ぶことがある。逆に僕はR8のことを彼より良く知っているから、お互いに学び合うように努力しているし、彼やチームの学ぶ姿勢はリスペクトしているよ。せっかくの縁でR8を選んでもらったんだから、その素晴らしさを細川選手やチームと分かち合いたいね。
──今シーズンの目標は?
CM:まだ今の状態では『トップを狙う』とは言いにくいのが現状だけど、それを目指せるようにチーム力とマシンをチームとドライバーが協力して育てることがまずはいちばん大事だね。チームのみんなからは学ぶ姿勢をすごく感じるので、必ず上位を狙えるチームになると思う。岡山では運よく雨が降り、ピットストップやコース上でうまく行ったので4位になることができた。それはとても幸運だったと思っているんだ。次の富士からはそうはいかないと思うから、努力するだけだね。それにすべてのコースは僕にとって初めてで、テストもほとんどなく、フリープラクティスのごくわずかな時間が、僕が唯一コースを知ることができる時間だ。でも、プロとしてどんなコンディションでもこなしてみせるのが仕事だから、集中してガンバるよ。
──日本のファンへ何かひとこといただけますか?
CM:今年1シーズン、スーパーGTに参戦させてもらうことになったんだ。もう次の富士で皆さんに会えるのが楽しみで仕方ないよ。2台のアウディを応援して、盛り上げてほしいよね。ちなみにアウディジャパンの方が、僕の名前に『豆郎』という漢字をつけてくれたんだ。キュートでしょ(笑)? 是非覚えておいてね!
(Midori Ikenouchi)