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【今宮純】中国GPドライバー採点&短評

2015年04月14日 20:21  AUTOSPORT web

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今季は開幕からチームメイトを圧倒し、強さを増しているルイス・ハミルトン
今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。F1第3戦 中国GPの週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視して採点する。(最高点は星5つ☆☆☆☆☆)

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☆ ウィル・スティーブンス
 マノー・マルシャの健全な“伸びしろ”が、マクラーレンと同じくらい気になる。2台初完走15&16位、予選では昨年ジュール・ビアンキのFP2ベストタイム(ドライ)を上回った。さらにレース中にスティーブンスは、ジェンソン・バトンと0.423秒差の自己ベストを。中古(失礼)シャシーとフェラーリPU(パワーユニット)の彼らに「レース根性」を見た。コンコルド協定では通常4月上旬に前年度分配金が支払われる。冬から続いた“綱渡り”も、これで一息つけたか。

☆☆ フェリペ・ナッセ
 F1以前から注目していた。パドックに居て存在感があり、いつも目がギラギラ、まさにハングリーだったから。新鋭の第一印象はまずまず、そして走りも開幕戦5位ノーミスは合格点、第2戦はセットアップ迷路にさまよったものの、第3戦で再び8位入賞。ザウバーのダブル入賞は今季2度目、現在コンストラクターズ・ランク4位の立役者。

☆☆ セルジオ・ペレス
 いまメルセデスPU勢で最悪の情況、曲がらない・止まらない・進まないVJM08マシン。それで3ストップは(言葉は悪いが)“特別攻撃隊”指令に等しい。それでも11位はメキシカンの我慢強さ。

☆☆☆ フェリペ・マッサ
 いまやベテラン、年長3番目の“マッサン”。渋い走りで予選も決勝も自己ベストタイムでもバルテリ・ボッタスに優った。昨年よりリヤのトルク・オーバーステアが顕著なFW37、今のところ、うまく乗りこなしている(ボッタスは、まだ体調100%ではないと思われる)。

☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
 明らかな3位狙い。チームとしてはそれでいいのだが最終スティントに“守り”が見てとれた。連戦移動するホットな中東バーレーンGP、そこにピークを整えるベッテル。

☆☆☆ ニコ・ロズベルグ
 0.042秒差の予選2位は初戦の0.594秒、第2戦の0.465秒落ちを縮めるアタック。よく攻めていた。スタートに賭ける気迫もありあり、だが次第にルイス・ハミルトンに離されると中盤に、また無線で「文句」を。聞き苦しい内容でレース後に内部で言えばいいこと。今年の彼には焦りがちらつく。『落ち着け』と父ケケさんは言うだろう。

☆☆☆☆ ロマン・グロージャン
 ようやく今季初入賞、彼は上海セクター1が大得意なのだ。渦巻く低速コーナーでリヤが暴れるE23をナチュラルに制御、ここがパストール・マルドナルドとの違い。今後も資金問題のためFP1をジョリオン・パーマーに譲らざるを得ないが、周回不足を腕でおぎなえばいいじゃん、グロージャン。

☆☆☆☆ ダニエル・リカルド
 43周目、5~6コーナーで見せたマーカス・エリクソンへの絶妙なアタック。インサイド縁石に引っ掛けながらのラインチェンジはお見事(!)、思わず息をのむ“上海曲技的”オーバーテイクプレー。決してルノーPUを表立ってけなさず我慢し、行くべきときに行くリカルドの技。

☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ
 どうしてもチェッカーを見たかったアロンソ。2戦連続リタイアなど、この10年で一度たりともない。レース中セクター1と2で区間タイム8位、でも直線主体のセクター3は15位。どこが遅く何が不足しているかは言うまでもないこと。屈辱のラップダウンに耐えるドライバー力。スペイン・ファンの間では現状チーム力に非難の嵐が起きつつあるという。

☆☆☆☆ キミ・ライコネン
 アタックラップをまとめきれない傾向が昨年からあるのは本人も自覚。6番手からオープニングラップで、たちまちウイリアムズ勢をパス。4番手をキープして終盤にチャージ、ベッテルに接近したところで「SC導入」。ここでは実現しなかった“バドミントン仲間”の赤色バトル、もうじき見られるかも……。

☆☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
 昨年イタリアGPから現在10戦8勝、勝率80%。これは全盛期のミハエル・シューマッハーに匹敵する。忠実なNo.2がいた“皇帝”と違い、同等待遇のニコ・ロズベルグ相手に続けている。明らかにW06を自分のモノにしているスムーズなドライビングはオンボード画面から解るだろう(昨年は、もっと修正していた)。さらにトルク向上したニューPUはプッシュしすぎると“トルク・オーバーステア”を発生し、よじれる。それがほとんどない走りを見つめると、いまの彼の強さがはっきりと伝わる(だから、ニコが焦るのもわかる)。まだ次期契約交渉を続行中、ルイスはコース上で好条件を満たそうと首脳陣に猛アピール。金銭だけでなく『絶対エース待遇』を求めていると思われる。その一方で早くもチームは15年W07開発に着手、このプロジェクトへの発言権も彼の条件のひとつだろう。

☆なし ダニール・クビアト、バルテリ・ボッタス、ジェンソン・バトン、ニコ・ヒュルケンベルグ、マックス・フェルスタッペン、カルロス・サインツJr.、パストール・マルドナド、ロベルト・メリ、マーカス・エリクソン