第2戦マレーシアGPの金曜日に、バーニー・エクレストンがチーム代表を収集して開催したパワーユニットの年間使用基数変更についての会議。ホンダの新井総責任者も「そうなれば、みんなにとっていい」と変更を望む発言をしていた。
しかしマレーシアGPで最終的な結論は出ず、その後の成り行きが注目されていた。中国GPでマクラーレンのエリック・ブーリエ(レーシングディレクター)に、その件について尋ねたところ「中国GPで話し合いが行われる予定は、いまのところない。とりあえずFIAから草案が出てくるのをチーム側が待っている状態だ」と回答してくれた。
年間使用基数変更についての会議というのは、現在認められている年間4基のパワーユニット使用を、5基に変更するためのミーティングである。テーマ自体は複雑なものではないが、シーズン中にレギュレーションを変更するのは簡単なことではない。まずFIAが草案を作成、その後ストラテジー・ミーティングで細部が話し合われ、さらに世界モータースポーツ評議会(WMSC)で全会一致の承認が必要となる。
次のストラテジーミーティングは5月14日が予定されており、世界モータースポーツ評議会は7月に予定されているため、通常の手続きを踏めば、早くとも変更は7月以降となる。現在チームとFIAは紳士協定という形で、もう少し早く適用できる道を探っている。
だが、上海インターナショナル・サーキットのパドックで、あるレース関係者に取材したところ「必ずしも全員が歓迎しているわけではない」という。特に難色を示しているのがメルセデス。サプライヤーとしては最多の4チームへパワーユニットを供給しており、基数変更はそれだけでコストアップとなるからだ。だからといってパワーユニットの代金を上げればチームが反発することは必至で、落としどころを探る必要がある。
フェラーリのパワーユニットを使用している、あるチーム関係者は次のように明かす。
「レギュレーションを変更したがっているのは、ルノーとホンダだ。メルセデスは4基でも十分だと考えている。フェラーリはみんなが望むほうを支持するだけだが、レギュレーションの変更は多数決ではなく全会一致が原則だから、メルセデスが首を縦に振らない限り成立しないだろう」
別の関係者は「実現する可能性は30%ではないか」と見ており、パワーユニット年間5基への変更までの道のりは、まだまだ長そうだ。
(尾張正博)