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「死んだ」ことにされた詩人と妻の30年描く、実話もとにした映画『サイの季節』

2015年04月14日 12:10  CINRA.NET

CINRA.NET

『サイの季節』より
映画『サイの季節』が、7月11日から東京・シネマート新宿ほか全国で順次公開される。

同作は、『カンヌ国際映画祭』カメラドールを受賞したデビュー作『酔っ払った馬の時間』や、前作『ペルシャ猫を誰も知らない』などの作品で知られるイラン人のバフマン・ゴバディ監督の新作。イラン政府に許可を得ずに撮影した前作以来、亡命を続けているゴバディ監督が、母国を離れてトルコで撮影した作品だ。

物語は、実在するクルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの体験にもとづいて描かれたもの。1979年のイスラム革命時に不当に逮捕され、30年後に釈放されるも、政府によって「死んだ」ことにされていた詩人・サヘルと、夫の死を信じ込まされながら、運転手の男・アクバルとの関係を断ち切れないサヘルの妻・ミナ、ミナへの異常な執着と恨みからサヘルを陥れるアクバルの3人による30年間の屈折した三角関係を描く。

30年間にわたって拷問に耐えながら、妻との再会だけを希望に生き続けるサヘルを演じるのはベヘルーズ・ヴォスギー。30年間で若々しい女性から疲れ果てた老女へと変化するミナ役を、12月4日から公開される『007 スペクター』でボンドガールに抜擢されたモニカ・ベルッチ、ミナへの歪んだ愛から大罪を犯すアクバルをユルマズ・エルドガンが演じる。

なお同作は、『第37回トロント国際映画祭』でプレミア上映され、『第60回サン・セバスチャン国際映画祭』で最優秀撮影賞を受賞。その後も様々な国際映画祭で上映されているほか、マーティン・スコセッシが称賛の意を示すために「提供」として自身の名をクレジットしている。