ルイス・ハミルトンの開幕3戦連続PPとなったF1第3戦中国GP。前回、そのメルセデスを破ったフェラーリは今回もレースで逆転できるのか? そして、マクラーレン・ホンダのパフォーマンスは? 予選のリザルトから、決勝レースのポイントをまとめました。
セッション始まりのFP1から予選Q1~Q3まで、すべてのセッションでトップタイムを奪ったルイス・ハミルトンが中国GPのポールポジション(PP)を獲得しました。これで開幕から3戦連続PPで、特に今回は金曜日からトラブルフリーでまったく隙が見当たりません。予選Q3ではチームメイトのニコ・ロズベルグがチェッカーまで10数秒前のギリギリのタイミングでアタックに入り、路面にラバーの載った一番良いコンディションでPPを狙いましたが、0.042秒、ハミルトンに及びませんでした。
メルセデスは唯一、Q1をミディアムタイヤでクリアしており、明日の決勝では1セット、ソフトタイヤを保存することができました。同じくフェラーリの2台もQ3セッションでソフトのニュータイヤを1セットしか投入しなかったため、メルセデスと同様にソフトのニュータイヤを1セット、レース用に投入することができます。
ソフトタイヤとミディアムタイヤの性能差は金曜日には約1.7秒とピレリは発表していましたが、土曜日のセッションを見た限りでは1秒強といったところでしょうか。さらにソフトでもニュータイヤとユーズドではQ3で両方のタイヤでアタックしたセバスチャン・ベッテルのタイムで比較すると、1.1秒の性能差がありました。ユーズドしかないライバルに対して、これはそのままライバルとのギャップとなるため、メルセデスとフェラーリは、ライバルに3周の周回数とタイムでアドバンテージを得ることになります。
マレーシアではフェラーリのベッテルが驚異的なロングランでメルセデスを打ち負かしましたが、今回のロングランではメルセデスの方が良く、マレーシアの再現は厳しいと言わざるを得ない状況です。予選のセクタータイムを比較しても、中高速コーナーが多いセクター2のベストタイムでハミルトンとベッテルの差が0.5秒と、このセクター2だけでも大きな差となっています。フェラーリにとっては、明日の現実的なライバルはメルセデスというよりも、予選で4&5番手になったウイリアムズになりそうですが、そのウイリアムズは金曜日のロングランでフェラーリに遅れを取っており、スタートで前を奪えないと厳しい展開になりそうです。いずれにしても、6番手のキミ・ライコネンとウイリアムズがどのような戦いになるのか、明日の注目どころとなるでしょう。
我らが期待のマクラーレン・ホンダは、残念ながら今回も2台ともQ1落ちとなってしまいました。0.01秒差でほぼ同タイムだったフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンは、15番手のフォース・インディアのセルジオ・ペレスから約0.3秒差でQ2進出を逃しました。ようやくフォース・インディアと勝負する位置に辿りついたとはいえ、予選のタイム、そして速度差を見るとまだまだ状況は厳しそうです。
マクラーレン・ホンダとフォース・インディアのタイムを比較すると、アロンソがセクター2でペレスを0.1秒、上回っていることが分かります。その一方、アロンソとペレスの差はセクター1で0.2秒、セクター3は0.25秒、アロンソが遅れています。セクター1はメインストレート、セクター3は1.1kmの超ロングなバックストレートがあります。速度差を比較すると、バックストレートエンドの最高速がアロンソ318.3km/hに対して、ペレスは326.5km/hで8.2km/h差、フィニッシュラインではアロンソ262.7km/hに対して、ペレス268.6km/hで5.9km/h差と、ストレートで完全に劣っていることが分かります。
もちろん、ウイングの角度などのセットアップ要因もあるでしょうが、ホンダのPUがまだまだ、パフォーマンスを十分に発揮できていないことがこの数値からも分かります。ストレートでこれだけの差があると、明日のマクラーレン・ホンダがフォース・インディアをコース上でオーバーテイクするには、かなり厳しい状況と言わざるを得ないでしょう。ただ、PUでのハンデがありながらも、セクター2でペレスを上回っていることから、マクラーレン・ホンダのMP4/30の中高速コーナーでのポテンシャルはかなり高いと言えます。
明日の決勝はピレリの発表によればソフト(スタート)→ソフト→ミディアムの2ストップが主流になると予想されています。数値上は3ストップの方が若干速いようですが、トラフィックを考慮すると得策とは言えません。また、タイヤのタレ(デグラデーション)が抑えることができれば1ストップの可能性もあるようです。明日の予想戦略を簡単にまとめますと、以下のような形になると予想されています。
中国GPレース/56周
3ストップタイミング 10周目ー25周目ー43周目
2ストップタイミング 12周目ー27周目
1ストップタイミング 19周目
明日の注目どころは、メルセデスの2台によるチームメイト同士の優勝争い、そしてフェラーリvsウイリアムス(具体的にはウイリアムスvsライコネン)が大きなところでしょうか。フェラーリはウイリアムズをきっちり負かして、メルセデスに次ぐ2番手の位置をキープし、メルセデスに何か起きた場合、優勝を狙えるポジションを確保したいはず。そのためにもライコネンがまずウイリアムズの2台に先行して、3-4番手をフェラーリ勢で占める必要があります。ウイリアムズとしては、それを防ぐためにも予選3位のベッテルの前にどう出るか。もちろん、その他にもマクラーレン・ホンダの戦いぶり、そしてQ3に2台残ったザウバー勢が決勝でどこまで残れるかなど、その他にも多々、見どころが多いレースになりそうです。
いずれにしましても、メルセデスの2台、そして3番手以下の戦いはタイム差も小さく、どの戦略を採るにしても、当然ですがまずはスタートが勝負どころになります。スタートからオープニングラップを終えてどのポジションにいるのか、そして最初のピットストップがどのタイミングになるのか、じっくり見てみましょう。
(F1速報)