2015年04月09日 21:01 弁護士ドットコム
学校の校庭から転がり出たサッカーボールをよけようとして転倒し、約1年半後に死亡した80代の男性の遺族が、ボールを蹴った小学生(当時11歳)の両親に損害賠償を求めた裁判で、最高裁は4月9日、遺族側の請求を棄却する判決を下した。1審と2審では、子どもの「監督義務」を怠っていたとして、両親に1000万円以上の賠償を命じる判決が出ていたが、最高裁はそれを覆す判断を示した。
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今回の最高裁判決を受けて、少年の父親は、代理人を通してコメントを公開した。その全文は次のとおり。
私たち夫婦、息子にとって苦悩の10年でした。
被害者の方にケガを負わせ、結果的に死亡したという事実を厳粛に受け止め、親としての道義的責任を痛切に感じています。
息子は自分の蹴ったサッカーボールが原因で人が一人亡くなったということで、ずっと罪の意識を持ちながら、思春期、青年期を歩んできました。
ただ親として子供を守ってやりたいと思ったのも事実です。
息子は当日の放課後、学校のグラウンドで、友人とフリーキックの練習をしていたに過ぎません。もともとあったゴールにむかってボールをける、法律のことはよくわかりませんが、このことが法的に責められるくらい悪いことなのかという疑問がずっと拭えませんでした。
また、親として、少なくとも世間様と同じ程度に厳しくしつけ、教育をしてきたつもりでした。この裁判を通じて、「息子に過失がある」、「違法行為だ」、「親のしつけ、教育がなっていない」と断じられたことは、我々親子にとって大変なショックであり、自暴自棄になりかけたこともありました。
本日、最高裁で判決が出たとお聞きしました。正直、まだ気持ちの整理もできておりませんが、我々の主張が認められたということでひとまず安堵しています。
ただ、被害者の方のことを考えると、我々の苦悩が終わることはありません。
(判決内容や弁護士の記者会見についての記事)
<最高裁・逆転判決>小学生が蹴ったボールで転倒し死亡――親の「賠償責任」認めず
http://www.bengo4.com/topics/2936/
(弁護士ドットコムニュース)