日本生産性本部は、2015年春の新入社員を「消せるボールペン型」と命名した。自由に書き換えができるので変化に対応できるが、摩擦熱には弱いので過剰な熱血指導をすると色(個性)が消えてしまうという趣旨だそうだ。
そんな新入社員が、入社誓約書などに「消せるボールペン」でサインしたという話がネットで話題を呼んでいる。「新入社員が消せるボールペンで重要書類書きやがったw」というスレッドが2ちゃんねるに登場したのは、4月7日。入社時に記入する誓約書や就業規則への同意書のサインに、消せるボールペンが使われていたという。
「大事な書類」だからこそ使ったのか?
入社後すぐに提出されて部長印まで押されていたが、7日に文字が薄くなっていて発覚。スレ主は「クッソワロタ 大事な書類だからね?って言われてたのにw」と驚いている。
「消せるボールペン型」世代の新入社員の大胆な行動には、ネット上に驚愕し感心する書き込みがあがっている。
「優秀な新入社員じゃないか。奴隷誓約書に署名しろといわれたら誰だってそうする」
「大事な書類だからと思って失敗しても書き直せるよう消せるボールペン使ったんだよ」
「新入社員に不利にしかならない書類だから、将来有望と見える」
消せるボールペンは、この数年で一気に普及。ゴムなどで擦ると摩擦熱で文字が消え、内容を改変できるので重要書類には使ってはいけないとされる。パイロット社の販売する「フリクションボール」(2007年発売)の商品サイトにも、こんな注意書きがある。
「証書類・宛名など消えてはいけないものには使用しないでください」
「直射日光の当たる場所や、高温になる場所に置かないでください。60度以上になるとインキが無色になります」
今回の書類は、コピーを取る際に機械の熱で文字が薄くなったという。スレ主の会社ではこの一件によって、最近書いた書類に消せるボールペンが使われていないかチェックをすることになったのだそうだ。
京都府舞鶴市では「全職員使用禁止」を通達
同世代の女性会社員Aさんに話を聞いたところ、学生時代には手帳へのメモや就活のエントリーシートへの記入などで日常的に「消せるボールペン」を使用しており、消せない普通のボールペンを使うときに勇気が要るようになったという。
しかし本来、ボールペンは消せないことを前提として使われるもの。それが消せるということ自体、用途を混乱させることになりかねない。その一方で、
「そもそも重要書類で失敗したら消せなくて不便だから、消えるボールペンとか出てきたわけだろう? それが消せる事で使うなって言うなら存在そのものが意味なくね?」
と、悪いのは新入社員ではなく商品そのものではないかという指摘もある。
最近では京都府舞鶴市で、消せるボールペンで書かれた公文書が多数あることが発覚。残業代申告書や出張報告書などで使われていた。市は4月6日までに、消せるボールペンの使用を禁止する通達を全職員に出している。
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