3月28日に、ドイツのニュルブルクリンクで開催されたVLNニュルブルクリンク耐久シリーズ第1戦で発生した事故を受けて、DMSB(ドイツモータースポーツ協会)は、4月7日に有識者会議を実施。通達されていた全クラスの車両の走行禁止が条件付きで解除された。
この事故は、VLN1の決勝レース中に、ヤン・マルデンボロがドライブしていたニッサンGT-RニスモGT3がコース4kmほどにあるコーナー、フルークプラッツの手前でエアボーン状態となりクラッシュ。フェンスを乗り越え観客エリアに落下し、観客1名が死亡、2名が怪我を負ったもの。
事故を受けて、DMSB会長ハンス-ヨアキム・シュトゥックの呼びかけにより、DMSBの幹部を中心にプロドライバーやアマチュアドライバー、主要自動車メーカーの代表者、ニュルブルクリンク所有者サイド、VLNやニュルブルクリンク24時間レースの主催者やオフィシャルなどの関係者を招いて、検察局の事故調査結果を元に4月7日に今後の対策についての有識者会議会議が行われた。
会議ではノルドシュライフェにおいて、レース中の観客の安全を第一に優先することで話し合いが進められ、その結果いくつかの安全基準についてのレギュレーションの変更が発表されたと同時に、事故後にノルドシュライフェでのレース参戦が禁止されていた全クラスの車両の走行禁止令が解除された。7日のDMSB有識者会議後に発表された変更事項は、下記のとおりだ。
●ハイスピードクラスのマシンのエンジンパフォーマンスを5%縮小すること
●事故が起きたフルークプラッツをはじめ、シュヴェーデンクロイツ(5km)、メッツガーフェルド(7~8km)、プランツガルテン(17km)といった危険エリアでの観客の立ち入りを禁止する
●フルークプラッツ、シュヴェーデンクロイツ、アントニウスブーヘェのハイスピードゾーンおよび、その前後で200km/hの速度制限を設けるとともに、急ブレーキを禁止する。ただし、ドッティンガーホーヘ(通称バックストレート)は250km/hとする
今後、複数箇所に設定される速度制限ゾーンではイエローフラッグで警告が出され、レースオフィシャルはその区間の速度はGPSでチェックをすることになるという。
「3月末に起きた事故を受けての第一措置として、今回の会議で出席者の同意を得ての改正となった。ノルドシュライフェでのレースをより安全でフェアな基準にすべく、DMSBが中心となって適切な対策を行うべく、今後も長いスタンスで安全監視と監修の強化に勤める」とシュトゥックは述べている。
4月11~12日に迫るニュルブルクリンク24時間予選レースや、その後に続くVLN第2戦、5月15~17日のニュル24時間を目前にして、走行禁止とされていたクラスの自動車メーカーやチーム関係者は、この発表にホッと胸をなで下ろしているはずだ。
(Midori Ikenouchi)