WEC世界耐久選手権は、今シーズンからシリーズの全戦で“ル・マンの精神”に則ったスタート進行を行うことを明らかにした。4月12日に決勝レースが行われる今季開幕戦シルバーストンから、この新たな方式でスタート進行が実施されることになる。
ル・マン24時間といえば、“ル・マン式スタート”という言葉でも知られるように、かつて(1960年代まで)は、ストレート上の片側に一列に並べられたマシンに、コース反対側からドライバーたちが走り、マシンに乗り込んでレースが始まるというスタート方式が採用されていた。
その後、安全性の観点から、1971年からはローリングスタートが採用されているが、レース前のスタート進行では現在も、メインストレート上のピットウォール側に、グランドスタンド側を向くようにマシンを一列に並べ、チームはその横に整列する形で国歌斉唱を行うなど、ル・マン式スタートを彷彿とさせるスタイルが採用されている。
ル・マンを中心的なイベントとして、今季は総勢35台のシーズンエントリーを集めるなど賑わいを見せているWEC。これまで、ル・マン以外のレースでは、他カテゴリーのレース同様、各マシンは自らのグリッドにつく形でスタート進行が行われていた。
ただ、今シーズンからはシリーズの全8戦でル・マン方式のスタート進行が採用されることになった。レース前のグリッドウォークについても、マシンがル・マン方式に並べられた状態で行われるという。レーススタートについては、セーフティーカー先導のもとで2周のフォーメーションラップが行われ、そのままローリングスタートでレースが始まることになる。
「世界最高のレースであるル・マン24時間の雰囲気を、WECの全レースで、全てのファンが感じることができるんだ」と語るのは、WECのCEOを務めるジェラール・ヌーブ。
「レースの本当の主役は、マシンとチームなんだ。スタート方式の変更でそのことが強調され、ファンは週末に行われる6時間レースをより楽しむことができるだろう」