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新潮社など出版社16社が連携 日本オーディオブック協議会設立

2015年04月07日 21:02  新刊JP

新刊JP

新潮社など出版社16社が連携 日本オーディオブック協議会設立
新潮社、小学館、講談社、KADOKAWAなど出版社16社が連携して発足した「日本オーディオブック協議会」の設立記者会見が4月6日、東京都内で行われた。

 今回の記者会見には、協議会の代表理事を務める佐藤隆信氏(新潮社 代表取締役社長)、常任理事を務める相賀昌宏氏(小学館 代表取締役社長)、常任理事であり協議会の事務局も務める株式会社オトバンク代表取締役会長の上田渉氏らが出席。
 会見の冒頭で佐藤隆信氏は、「これから各社の資産を有効に活用し、オーディオブック市場を育てていきたい」と協議会設立にあたっての抱負を述べた。また、記者からの質問を受けた上田氏からは、日本国内のオーディオブック市場について、「現在の市場規模はおよそ50億円。しかし、アメリカをはじめとした海外のオーディオブック市場の動向に目を向けると、国内の市場規模は900億程度にまで伸びる可能性がある」との説明もあった。

 そもそもなぜ、このタイミングで協議会が設立されたのだろうか。出版業界全体で新たなアクションを起こしていくうえで、いまが絶好のタイミングだったという事情がある。
 5年ほど前から日本書籍出版協会内で、オーディオブック部会という形で業界をあげてオーディオブックの普及に取り組むべきだという意見があったという。しかし、出版業界は昨年まで2015年施行開始の改正著作権法の影響を受け、電子書籍の出版義務化への対応で手一杯だった。その対応が一段落したのが2014年末。さらにはマラケシュ条約(読書のバリアフリー化に関する条約)批准に向けての著作権法改正の可能性が出てきたことが協議会設立を後押しした。

 会見での各社代表のコメントを聞くかぎり、オーディオブック市場に対する認識は各社各様で、協議会の具体的な活動内容についても、しばらくは模索段階が続きそうな様子だ。ただ、この市場にはそれだけ模索する余地が残されており、可能性が眠っているのは確かだろう。協議会がこれから日本のオーディオブック市場をどう舵取りをしていくのかに期待したい。
(神知典/新刊JP編集部)

■日本オーディオブック協議会(以下、敬称略)
・代表理事
佐藤隆信(株式会社新潮社代表取締役社長)
・常任理事(順不同)
相賀昌宏(株式会社小学館代表取締役社長)
野間省伸(株式会社講談社代表取締役社長)
川金正法(株式会社KADOKAWAビジネス生活文化局局長)
上田渉(株式会社オトバンク代表取締役会長)

・理事(順不同)
堀内丸恵(株式会社集英社代表取締役会長)
松井清人(株式会社文藝春秋代表取締役社長)
乙部雅志(株式会社岩崎書店取締役常務)
斎藤健司(株式会社金の星社代表取締役社長)
佐藤潤一(株式会社福音館書店代表取締役専務)
岡本厚(株式会社岩波書店代表取締役社長)
矢部敬一(株式会社創元社代表取締役社長)
熊沢敏之(株式会社筑摩書房代表取締役社長)
鹿谷史明(株式会社ダイヤモンド社代表取締役社長)
干場弓子(株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン取締役社長)
清水卓智(株式会社PHP研究所代表取締役社長)