5日、スーパーGT第1戦岡山の決勝日に行われたGTA定例記者会見の場で、GTアソシエイションの坂東正明代表は、DTMドイツツーリングカー選手権とGT500クラスの統一車両規定『クラス1』について、現在の進捗と今後について語った。
スーパーGTは2014年シーズンから、モノコックをはじめ多くの部分でDTMと車両規定を統一化。将来、両シリーズによる交流戦を実現したりといったグローバルな展開を進めている。ただ現在は共通規定により車両寸法や改造範囲が統一されたとはいえ、エンジンやタイヤ、レース距離の違いによる給油の有無等、さらに現状ではマシンのパフォーマンス面にしても、大きな隔たりがある。
しかし、両シリーズは2017年の完全規定統一を目指し、すでにさまざまな動きを展開しているという。現状について坂東代表は、「週に1回くらいアウフレヒト(DTMのプロモーターであるITR e.V代表のハンス-ベルナー・アウフレヒト)と電話で話をしている」と語る。また、DTMのテクニカルスタッフも月に1回程度来日していて、スーパーGTに参戦中の自動車メーカーも交え、詳細を調整しているという。
「速さや強度の面でモノコックの問題はクリアになっていて、17年からはダウンフォースレス化したモノコックの方向ですでにすり合わせる段階に入っている。エンジンについても、(それを制御する)コンピュータについて調整中だ。ただ、ターボについてはどこのメーカーのものを使うのかが問題になってくると思う」
また、タイヤの問題も非常に重要なトピックス。DTMでは長年ワンメイクタイヤが使用されており、現在はハンコックがオフィシャルタイヤサプライヤーとなっている。一方のスーパーGTはタイヤコンペティションが魅力のひとつで、開発競争によりそのポテンシャルはDTMを大きく凌駕するほか、チームによってはタイヤメーカーと密接な結びつきがあるところもある。
「タイヤメーカーの問題もきちんとしていかなければいけない。例えば、今スーパーGTでヨコハマを履いているチームが他メーカーもすべて他メーカーのタイヤを履くのか」と坂東代表は語るが、さらにこんな興味深い発言も。
「実際に向こうのシリーズ(DTM)から日本のタイヤメーカーにオファーが来ているようで、そのメーカーからは『この先どうなるんですか?』という問い合わせもこちらに来ている。一歩一歩前へ進んでいるのは確実ですが、あとはきちんとした管理の中で、どうやって先を見ていくのかというところです」
これらの諸問題をすべて解決すれば、ファンのみならず自動車メーカーも歓迎する交流戦が実現することになる。気になるのはこの場所だが、当初は中国等のアジア圏で開催する案もあったが、現在は日本で1戦、ヨーロッパで1戦を開催することになるアイデアが有力だという。これについてもロジスティクスの問題等、さまざまな部分を解決しなければならない。
「そういう部分も含めて話し合いを始めていますので、早く交流戦を実現できるようにしたい」と坂東代表。まだ課題は多いかもしれないが、その調整は一歩ずつ着実に進んでいるようだ。