スーパーGT第1戦は5日、岡山国際サーキットで82周の決勝レースが行われ、GT500クラスは目まぐるしく変わるコンディションの中、ポールポジションからスタートしたKeePer TOM'S RC Fが一度は首位を譲るも、逆転勝利を飾った。
いよいよ2015年の開幕レースとなる、スーパーGT第1戦。朝の岡山国際サーキットは大粒の雨が舞っていたものの、昼前からサーキットは曇天となり、少しずつ路面は乾いていくことに。GT500クラス、GT300クラスともグリッドでギリギリまでタイヤ選択に悩まされることになった。
途中、白バイが1台転倒するアクシデントはあったものの、岡山県警による1周のパレードラップの先導が行われ、華やかな雰囲気の下でフォーメーションラップへ。迎えたスタートでは、ポールポジションのKeePer TOM'S RC Fが首位をキープし1コーナーへ向かうが、1周目からPETRONAS TOM'S RC Fやドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTが濡れた路面でスピン。しかし、接触なくほとんどポジションを落とすことなく、コースに戻り先頭集団を追った。
■序盤はGT-R+ミシュラン勢がレクサス追撃
序盤KeePerに続いたのは、ENEOS SUSTINA RC F、ZENT CERUMO RC Fというレクサス勢。しかし、この路面コンディション下でそれに猛然と迫っていったのが、MOTUL AUTECH GT-R、S Road MOLA GT-Rというミシュラン装着のGT-R勢。MOTULが5周目に2番手に浮上すると、S Roadもレクサス勢をかわし、15周目には3番手へ。序盤はKeePer対GT-Rの2台という構図ができあがっていった。
レクサス勢はさらに、20周が近づきコースが少しずつ乾くにつれてペースが鈍っていく。17周目にはついにMOTULがヘアピンでKeePerをかわし首位に浮上。また、ZENTもハイペースで走るRAYBRIG NSX CONCEPT-GTにかわされていく。しかし、それをさらに上回ってきたのは1周目のスピンを一気にリカバリーしてきた小暮卓史のドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT。18周目にはS Roadすらもかわし一気に3番手に浮上する。
GT500クラスは序盤毎周のように目まぐるしく順位が変わっていくが、そんな中、22周目にトップを盤石としようとしていた前年王者MOTUL AUTECH GT-Rのリヤから突然白煙が上がってしまう。MOTULはピットに戻ると、まさかのガレージインとなってしまった。また、S Roadもペースが落ち始めてしまう。
■NSX勢が中盤戦を支配。ワン・ツーが見えるも……
これで首位は再びKeePerとなるが、わずかに濡れた路面で圧倒的なスピードを披露していた小暮のドラゴ モデューロが24周目に一気にKeePerをかわし首位へ! さらに、山本尚貴駆るRAYBRIG NSX CONCEPT-GTも25周目にKeePerをパス。序盤は予選順位からは一変して、ホンダNSXコンセプト-GT勢のワン・ツー状態となった。
NSX勢同士の争いとなったトップ争いは、34周目に山本のRAYBRIGが小暮のドラゴ モデューロをとらえトップに浮上。この頃にはミシュラン勢、ブリヂストンのFR勢はかなりペースも鈍り、NSXだけが好調な状況となる。しかしこの周、今度は岡山に再び雨が舞い始めた。
コンディションによって速さがまちまちに変わる中、GT500クラスは各車がピットイン。序盤上位を走っていたマシンでは、タイヤが苦しくなっていたS Roadが最も早くピットに戻り、ホンダ勢、レクサス勢と続く。ピットを終えてみると、得意のピット作業でKeePerがRAYBRIGの前に出るが、46周目にはすぐ背後に迫っていき、49周目のダブルヘアピン立ち上がりで一気に前へ! トップを奪回し、このコンディション下でのペースの違いが明確に現れた。
NSX勢の速さは、ピットアウト後ポジションを落としていたオリバー・ターベイ駆るドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTにも表れる。ZENT、ARTA NSX CONCEPT-GTと相次いでオーバーテイクを披露し、57周目には4番手に復帰。さらにジョアオ-パオロ・デ・オリベイラ駆るカルソニックIMPUL GT-Rとの戦いを制し、63周目には表彰台圏内を回復してみせた。
■再び強まった雨脚。レクサス勢が一気に逆襲
ターベイの好走をはじめ、ホンダ勢が盤石の決勝ペースで迎えていたスーパーGT第1戦岡山の終盤戦。しかし、残り10周が近づく頃に、一気に雨脚が強くなり始める。コース上の水量が増すと、今度は水を得た魚のように勢いを取り戻し始めたのは平川亮駆るKeePerだ。71周目、一気にその差を詰めるとダブルヘアピンで首位を奪還! この頃、同じレクサスRC F+ブリヂストンのDENSO KOBELCO SARD RC Fも一気にペースアップ。さらにZENTもポジションを奪還し始め、序盤のホンダ+BSのパッケージから、レクサス+BSのパッケージに一気に優位が傾いた。
好走をみせていたターベイも、選んでいたタイヤが違うのかARTA NSX CONCEPT-GT、ZENTに一気に迫られると、残り5周でARTAを駆る野尻がターベイのインにチャレンジ! しかしこちらは1コーナーでコースアウト。ZENTが2台を1周でパスし、3位を奪回した。
雨量によって履いていたタイヤの優位性が一気に変わり、目まぐるしく順位が変わっていったスーパーGT第1戦岡山は、最終的に素晴らしい走りを披露したKeePer TOM'S RC Fが優勝! 2位はRAYBRIG NSX CONCEPT-GTがからくも逃げ切ることに。3位はZENT CERUMO RC Fとなったが、最終的にRAYBRIGとZENTの差はわずか1.6秒だった。タイヤウォーズの激しさでは世界一と言われるスーパーGTらしい、タイヤが左右する決勝レースが開幕から展開されたと言えるだろう。