2015年04月05日 12:11 弁護士ドットコム
ゲームセンターや商業施設に設置されているプリントシール機械「プリクラ」。本来ならば、誰でも気軽に利用できるはずだが、最近はプリクラコーナーに「男性のみの入場禁止!」といったポスターを掲示し、男性グループや男性が一人でコーナーに立ち入ることを禁止している施設がある。
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店側の事情としては、主な利用者である女子中高生を狙った盗撮や痴漢の防止という狙いがあるという。また、ナンパ目的でプリクラコーナーに入る男性客もいることから、女性客の苦情を受けて、店側が対応していったようだ。
だが、こうした入場規制について、弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、「プリクラコーナーの『男性のみでの入場禁止』は性差別ではないか?」という指摘が寄せられている。
店によっては、「男性のみで撮影したプリクラは没収します。返金もしません」という厳しい対応をする店もあるようだが、「男性のみの入場禁止」というルールは男性差別にあたり、違法ではないだろうか? 尾崎博彦弁護士に聞いた。
「まず『差別にあたるかどうか』ですが、この場合、そもそも法律的な意味で『差別』の問題は生じません」
尾崎弁護士はこのように切り出した。なぜだろうか?
「このケースを考えるにあたっては、自分の家に誰かを招き入れる場合のことを考えてみると良いでしょう。自分の家に誰を招くかはその人の自由であって、どんな理由であっても責められる筋合いはありません。
これは、ゲームセンターにおいても同様です。つまり、本来ゲームセンターがどういった人を客として呼び込むかは営業上の判断であって、それは原則として自由になされるべきです。
したがって、男性の入場を禁止し、女性のみを入場させることは、法的には許されると考えられます」
では、「男子禁制」に反して立ち入った男性が、代金を返却されないなど、店側から何らかの不利益を受けることに、問題はないのだろうか?
「必ずしも『問題はない』とは言えません。
仮に、プリクラコーナーが他とは仕切られたかたちで部屋の一角に集められ、その区画がすべて男性立入り禁止となるなど、『男性の入場禁止』と誰でもわかるように表示されていた場合であれば、男性の立ち入りが『建造物侵入罪』にあたる可能性があります。
しかし、なんの仕切りもなく、プリクラの機械に『男子禁制』と書かれた張り紙が貼ってある程度では、強制力はないでしょう。したがって、これに反してプリクラを利用した男性が罪に問われるとは考えられません。
ましてや、撮影したプリクラを没収したり、返金をしないといった措置は、とがめ立てられた男性が任意で応じるならともかく、法律上、強制することはおよそできないと考えられます」
尾崎弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
尾崎 博彦(おざき・ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員、同民法改正問題特別委員会 委員、遺言・相続センター運営委員会 委員
事務所名:尾崎法律事務所
事務所URL:http://ozaki-lawoffice.jp/