フェラーリとメルセデスAMGによって優勝が争われたマレーシアGP決勝。5位以下にも目を転じてみると、ウイリアムズ、トロロッソ、レッドブルと、チームメイト同士が綺麗に並ぶという、不思議な事象が起きました。その結果、チームメイト同士によりバトルが繰り広げられることになったのです。この後方グループについても、結果を検証してみましょう。
開幕戦でフェラーリと激しく戦い、4位(フェリペ・マッサ)となったウイリアムズは、今回は5位(バルテリ・ボッタス)と6位(フェリペ・マッサ)に来ました。ただ、これは少々意外な結果だったと言えます。
ウイリアムズは金曜日のフリー走行から、非常に大きなデグラデーションの兆候を見せていました。しかしレースでは、ペースのダウン率が小さく、特にふたりがミディアムタイヤで走った25~40周目付近のペースは、メルセデスAMGには及ばないものの、ほとんどデグラデーションの傾向が見られない、安定したものでした。最終スティントで履いたハードタイヤには大きなデグラデーションが見て取れますが、全体的に見てもフェラーリとメルセデスAMGに次ぐ、3番手チームという位置づけを確実なモノにしている印象です。
ふたりのペースは、レースを通じてほぼ互角。綺麗に同じようなペース推移を記録しています。最終的にはボッタスがマッサを豪快にオーバーテイクして順位が変わりましたが、この最大の要因はマッサの方がボッタスよりも2周早く、ハードタイヤに交換したことです。このためにマッサのタイヤの方が早く寿命を迎えてしまい、よりタイヤの新しいボッタスにオーバーテイクの機会を与えてしまいました。
レッドブルは、トロロッソにも劣るペースしか今回は発揮できていませんでした。特にダニエル・リカルドのペースは、データ上ではダニール・クビアトにまったく及ばないもの。フロントホイールからカーボンダストを吐き出すシーンが多々あるなど、ブレーキに問題を抱えていたのは明らかで、10位で1ポイント獲得するのが精一杯でした。
逆にトロロッソは実に速かった。ふたりのドライバーのうち、結果的にはマックス・フェルスタッペンの方が前でゴールしましたが、これはスタートポジションの差が大きく影響した結果です。フェルスタッペンは6番手スタート、サインツJr.が15番手からのスタートでした。前方スタートのフェルスタッペンは、3ストップでどんどん前を追うレースを展開します。しかし、4周目のセーフティカー時にピットに入ったため、ハミルトンと同じように遅いマシンにひっかかり、戦略のメリットを失ってしまいます。一方サインツJr.は2ストップ作戦でガマンのレースをするしか、順位を上げる方法がなかった。実際、サインツJr.はセーフティカー時に大きく順位を上げることに成功しました。しかし、トロロッソのマシンはデグラデーションが大きく、特に長く走行した最終スティント終盤はデグラデーションに苦しみました。そもそも、トロロッソのマシンで2ストップを選択するのは、無理があったのでしょう。結果、3ストップのメリットは若干失ったものの、フェルスタッペンが先にチェッカーを受ける形となりました。
ところで、今回ウイリアムズに次いで速かったのは、実はノーポイントのロータス。パストール・マルドナドもロマン・グロージャンも、終始非常に良いペースで走っていました。しかし、マルドナドはマシントラブルのためにリタイア。グロージャンは第3スティントを8周という非常に短い走行で終えたために、ハードタイヤで最後スティントを20周以上走らねばならず、しかもペースを上げることができませんでした。さらにペレスとの接触でスピンしたことなどもあり、入賞圏外に下がってしまいました。実際の戦闘力からすれば、実に勿体ないレースだったように思います。
最後にマクラーレンですが、彼らのペースが著しく向上してきた印象です。ジェンソン・バトンは第2スティント(5~21周)でも、続く第3スティント(22~35周目)でも、レッドブルやロータス、そしてトロロッソらと遜色ないペースで走っていました。フェルナンド・アロンソのペースも、バトン同様優れたものでした。残念ながらパワーユニットにトラブルが発生し、ふたり揃ってリタイアに終わってしまいましたが、少しずつ入賞が見えてきたように思います。次の上海では、どこまでパフォーマンスを上げてくることができるでしょうか?
3番手以降のチームの争いは、早くも決まり出した印象があります。この順位を逆転することができるチームはあるのか? また、上位4台に挑戦できるマシンは? マクラーレン・ホンダの上昇度合いにも、注目です。さらに、チームメイト同士の争いも、非常に熱くなっています。さて、2週間後の中国GPは、どんなレースになるのでしょうか?
(F1速報)