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F1現地直送:ホンダ・パワーユニット、熱の次はターボに新たなトラブルの可能性

2015年03月30日 14:20  AUTOSPORT web

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マクラーレン・ホンダのペースは上がったが、セパンでは完走ならず
マレーシアGPの金曜夜、ホンダはジェンソン・バトンのパワーユニットを交換した。正確には6つで構成されているコンポーネントのうちCE(コントロール・エレクトロニクス)、ES(エナジーストア)、MGU-Kを除く3つのコンポーネンツである、ICE(エンジン本体)とTC(ターボチャージャー)とMGU-Hだ。これは開幕戦のスタート前にブロウしたケビン・マグヌッセンのパワーユニットのトラブルリストと同じである。

 この状況を確認したあるレース関係者は「ホンダはターボになんらかの問題を抱えている可能性がある」と読む。ICEだけでなくTCと同軸で接続されているMGU-Hを交換しているということは、超高速で回転しているターボがなんらかの原因で破壊され、ターボに接合しているICEとMGU-Hにもダメージを与えた可能性が考えられるからだ。

 もし、この推測のとおりであれば事態は深刻かもしれない。ターボが破壊される理由のひとつとして、ターボ軸が危険速度を超えた可能性が考えられるからだ。超高速で回転するターボの軸は、わずかな「ねじり」や「うねり」でも振動が発生し、その振動数が回転軸の速度と一致すると増幅し、危険な状態となる。それが危険速度である。F1の場合、MGU-Hの上限が毎分12万5000回転なので、それを回すターボも、その上限ギリギリで稼働させるのが一般的だ。

 危険速度を超えないようにするためには、振動そのものを起こさないよう部品の精度を上げることの他に、軸自体の強度を上げる、または軸が「ねじり」や「うねり」を起こしにくいよう全長を短くするという方法がある。しかし、その改善は容易ではない。パワーユニットは開幕前にホモロゲート(認証)されており、勝手に仕様を変更できないからだ。特に軸の全長を短くするには、ターボとMGU-Hのレイアウトの変更も同時に行わなければならないため、大きな使用変更となる。シーズン中に変更が許されるのは、安全性に問題があり、かつパフォーマンス向上に繋がらない場合のみだ。

 しかしホンダの新井総責任者は、それ以外にも仕様を変更する目的はあると説く。

「今回マレーシアGPに投入した2基目のパワーユニットは、オーストラリアGPとまったく同じものではありません。もちろん信頼性目的で仕様を変更したものもあれば、承認しなくてもいい部分で設計を変更したものもあります。そうやって日々進化しないと(メルセデスに)追いつけませんから」

 しかし、投入した2基目のパワーユニットは2台ともレースでトラブルに見舞われた。しかも、バトンは再びターボに不具合を発生させている。

 オーストラリアGPで熱に苦しんだホンダが、今度はターボに悩んでいるとしたら、頭の痛い問題となることは間違いない。今後ホンダが、どのような対応をとるのか注視したい。

(尾張正博)