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「テントを安売りするな」と強制したらダメ 「再販売価格の拘束」はなぜ違法なのか?

2015年03月30日 12:31  弁護士ドットコム

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アウトドア用品大手「コールマンジャパン」が自社製品を安売りしないよう小売店に強制した疑いがあるとして、公正取引委員会は3月中旬、独占禁止法違反(再販売価格の拘束)の疑いで、同社を立ち入り検査した。


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報道によると、同社はテントやランタン、グリルセットといった自社のアウトドア製品について、同社が決めた価格で販売するよう、全国の小売店に指示。守らなければ商品を納入しないなどのペナルティを課して、指示を守らせていた疑いがもたれている。



今回問題になっている「再販売価格の拘束」とは、いったいどんなことなのか。なぜ、法律で禁止されているのだろうか。独占禁止法にくわしい籔内俊輔弁護士に聞いた。



●販売価格が高止まりしてしまう


「独占禁止法では、企業が市場で自由な競争を行えるようにするため、競争を妨げるおそれのある16種類の行為を『不公正な取引方法』として禁止しています。



『再販売価格の拘束』は、その不公正な取引方法の1つです」



籔内弁護士はこのように述べる。具体的には、どんなことをしてはいけないのだろう。



「まず『再販売価格』の説明をしましょう。小売店は、メーカーなどから商品を仕入れて、顧客に販売しますよね。その時の価格のことを『再販売価格』と呼びます。



そして、『再販売価格の拘束』というのは、たとえばメーカーが取引先である小売店などに対して『消費者の売る場合の価格は●●円以上にしなさい』などと売値を指示して、それを守らせる行為です」



そうした行為がなぜ、競争を妨げることになるのだろう。



「小売店が、市場での競争に勝つため、商品をより安く消費者に販売しようとしているのに、メーカー側が値下げを許さなければ、販売価格が不当に高止まりしてしまいますよね。そのため、そうした行為は独占禁止法で禁じているのです」



メーカーの作ったパンフレットなどで「メーカー希望小売価格●●円」と書いてあるのを見かけるが、問題ないのだろうか。



「メーカーが『希望』や『提案』として価格を示すこと自体は、違法ではありません。



小売店が自主的に価格を決めることができるなら、独占禁止法上、問題はないのです。



しかし、提示された価格を守らない場合に出荷を停止したり、取引条件を不利益に変更したりして、提示価格を守らせるための圧力をかけると問題になります」



●新聞や書籍が「特別扱い」なのはなぜ?


だが、新聞や書籍など、価格競争のない商品もある。この点はどう考えればよいだろう。



「新聞や書籍などの著作物に関しては、独占禁止法の中で『再販売価格の拘束』を行ったとしても違法としないという『適用除外』の規定があります(独占禁止法23条4項)。そのため、適法に行うことができます」



なぜ、新聞や書籍は、特別扱いなのだろう。



「著作物に関する『適用除外』の規定に関しては、『廃止すべき』という意見もあります。



しかし、制度が廃止されると、書籍などの多様性や新聞の戸別配達制度が失われ、国民の知る権利を阻害する可能性があることなどが指摘されています。



このように、文化・公共面での影響が生じるおそれがあるとして、現状は維持されています」



籔内弁護士はこのように話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
籔内 俊輔(やぶうち・しゅんすけ)弁護士
2001年神戸大学法学部卒業。02年神戸大学大学院法学政治学研究科前期課程修了。03年弁護士登録。06~09年公正取引委員会事務総局審査局勤務(独禁法違反事件等の審査・審判対応業務を担当)。
事務所名:弁護士法人北浜法律事務所東京事務所
事務所URL:http://www.kitahama.or.jp