ベライゾン・インディカー・シリーズの開幕戦がセント・ピーターズバーグで開催。28日に行われた予選は、ペンスキー勢が上位を独占し、昨年の王者ウィル・パワーがポールポジションを獲得した。6年目のシーズンに挑む佐藤琢磨(AJフォイト)は、ホンダ勢の最上位5番手を獲得した。
金曜のプラクティス1回目にトップタイムをマーク、幸先良いシーズンスタートを切ったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、プラクティス2が雨のためキャンセルされると、土曜日のプラクティス3でもトップタイムをマーク。そして、予選では13年間長きに渡って保たれてきたセント・ピーターズバーグのコース・レコード(1分0秒6509:セバスチャン・ブルデー)を予選の第1ステージで破り、更に速いラップを第2ステージで記録。ファイアストン・ファスト6と呼ばれる予選最終ステージでも最速ラップを叩き出し、2015年シーズン開幕戦のポールポジションを獲得した。
ファイアストンが今年もソフトとハード、2種類のコンパウンドのタイヤをロードレースでは供給するが、予選で使えるのは2セットまで。予選の最終ステージでは、第1、あるいは第2ステージで使ったタイヤで走るケースがほとんどで、今回もそのケースだったことから、予選最速ラップは第2ステージに記録された。予選結果としては最終ステージのものが採用されるのだが……。
予選2番手は今年からペンスキー入りしたサイモン・ペジナウのものとなった。そして、予選3番手はペンスキーで一番の古株のエリオ・カストロネベスで、予選4番手は去年からペンスキーで走っているファン・パブロ・モントーヤだった。なんとペンスキー勢が予選のトップ4をスイープしたのだ。4台体制を敷いた途端に予選で1-2-3-4を達成。今年の彼らはタイトルを獲得した去年以上に強さを手に入れているように見えている。
逆に、チップ・ガナッシ・レーシングは今年もスタートダッシュがうまくいかなかった。4カー体制は彼らの方が先輩だが、今日の予選でガナッシ勢のトップだったのはトニー・カナーンの7番手で、スコット・ディクソンは9番手。プラクティスで安定した速さを見せていたチャーリー・キンボールは予選第1ステージ突破に失敗して13番手。ルーキーのセージ・カラムは18番手だった。
パワーはこれで37回目のポールポジション。セント・ピーターズバーグだけで5回目のポールだ。
「ライバルたちとの差が非常に小さく、厳しい予選になっていた。最終ステージでは最後にコースインした。路面がよくなる最後のタイミングを狙った。ポールポジション獲得できてとても嬉しい」とパワー。「このオフのハードワークがみのり、チーム・ペンスキーは予選で1-2-3-4を達成した。素晴らしい成績だ。明日のレースでもチームメイト同士4人での優勝争いになるといい。誰が勝つか、楽しみだ」ともパワーはコメントした。
予選2番手となったペジナウも満足げだった。「マシンの仕上がり具合はとても好い。速いマシンになっている。チーム・ペンスキー入りして初めてのシーズン、こんなに素晴らしいスタートが切れて満足している。明日のレースが楽しみだ」と彼は語っていた。
ペンスキー勢に最も接近したのは佐藤琢磨だった。予選直前のプラクティスでマシンの仕上がりの良さを確信、琢磨は4番手のタイムを出していた。
そして、予選では第1ステージをトップで通過し、第2ステージでは自己ベストを記録し、4番手でファイナルに駒を進めた。ホンダドライバーでファイアストン・ファスト6に進めたのは彼ひとりだった。
他に琢磨以外にはセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)がファイナル進出。琢磨は惜しくも5番手でペンスキー4の上位独占を阻止できなかったが、ブルデーよりはひとつ上位のグリッドを確保した。
「5位という結果は嬉しいです。新しいシーズンは新しいエアロキットでの戦いで、マシンの力を最大限引き出す必要がありました。それを僕らは達成できていたと思います。チームが本当に頑張ってくれています。今シーズンから2カーに体制を拡大し、チームワークを発揮してプラクティス1回目から予選まででマシンを飛躍的に進歩させることができました」と琢磨は話した。
インディカーに復帰して来たシモーナ・デ・シルベストロ(アンドレッティ・オートスポート)が11番手と大奮闘を見せた。マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)も予選で第2セグメントまで進出。ホンダ勢は4人が第2セグメントで戦っていた。
琢磨に続いたホンダ勢は8番手のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。トップ10入りしたホンダ勢は彼らふたりだけ。開幕前テスト、予選前までのプラクティスで好調と映っていたグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は第1ステージでの敗退で予選15位だった。
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)