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F1マレーシアGPフリー走行分析:ペースに勝るフェラーリ。メルセデスも警戒

2015年03月28日 08:00  AUTOSPORT web

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フェラーリのデグラデーションは非常に小さく、レースペースはメルセデスよりも良さそう。さて、その真価は?
メルセデスAMGの強さが際立った開幕戦オーストラリアGPから2週間、F1は灼熱の地マレーシアにやって参りました。この第2戦も、やはりメルセデスAMGが無敵の強さを見せるのか? それとも、太刀打ちできるチームが現れるのか? また、開幕戦で苦しんだマクラーレン・ホンダの上昇度合いは? 本日行われたフリー走行2回目の結果から、読み解いてみることにしましょう。

 フリー走行1回目はニコ・ロズベルグ、2回目はルイス・ハミルトンと、結果を見るとはやりメルセデスAMGの速さが抜けている感は否めません。ただし、レースで重要なのはロングランのペース。たとえ一発のアタックタイムが速くても、長く安定して走ることができなければ、上位を狙うのは難しいのです。ということで、メルセデスAMGのロングランペースを検証します。

 ハミルトンはフリー走行1回目に発生したマシントラブルを修復した影響で、走行開始が遅れました。そのため、あまり多くの周回数をこなすことができていません(結局最後も、ピットに呼び戻される格好でした)。一方のロズベルグは、合計26周を走り、ミディアムタイヤを履いて10周のロングランを実施しています。この時のペースは安定しており、デグラデーション(タイヤの劣化によるラップタイムへの影響)は1周あたり0.17秒程度でした。多くのチームが粗い路面と高い気温に苦しむ中、この数字は非常に良いものだと言えるでしょう。

 ただ、このメルセデスAMGよりも良いペースで走っていたチームがあります。それがフェラーリです。キミ・ライコネンはミディアムタイヤを履き、11周のロングランを実施。デグラデーションの値は1周あたり0.1秒程度と、メルセデスAMGよりもタイヤに優しく、より速いペースを持続できそうに見えます。走り出しもメルセデスAMGとほぼ同等なので、たとえ予選で前方のグリッドを奪われたとしても、フェラーリが背後を突くというレースが、展開されるかもしれません。

 ライコネンのチームメイト、セバスチャン・ベッテルはハードタイヤを履いてロングラン。こちらは、15周にも及ぶ長い走行でした。このベッテルのペースも非常に良く、平均ペースはライコネンのミディアムでの走行より0.5秒だけ遅い程度(ピレリはハードタイヤはミディアムタイヤよりも1~1.2秒遅いと予測しています)。やはりデグラデーションも非常に小さく(1周あたり0.08秒)、場合によっては1ストップで走り切ることすらできそうです。

 メルセデスAMGは、昨年から大きなマージンをもっていて、フリー走行でライバルと同等だったとしても、決勝では大きくペースを上げ、逃げ切るということが多くありました。確かに今回もその例に漏れないのかもしれませんが、ハミルトンもロズベルグも、「今回はフェラーリの調子が良さそうだ」と語り、警戒しています。メルセデスAMGはもちろん速いでしょうが、フェラーリからも決して目が離せない、そんな今週のマレーシアGPとなりそうです。

 その後方にも目を転じてみます。前回、フェラーリと表彰台を争ったのはウイリアムズのフェリペ・マッサでした。しかし今回は、フェラーリと争うだけの力は、持ち合わせていないようです。走り出しのペースはメルセデスAMGやフェラーリと同等ではあるものの、デグラデーションの値が大きすぎます。マッサのミディアムタイヤ装着時のデグラデーションは、1周あたり0.33秒。ハードタイヤを履いても、その値はほとんど変わらず、3ストップ作戦を強いられることになるかもしれません。

 今回のウイリアムズのライバルは、レッドブルとトロロッソというところになりそうです。彼らもデグラデーションの値は大きく、ウイリアムズと同じ。ペースも同様なので、コース上での激しいバトル、そして細かな戦略によるポジション争いが期待できそうです。開幕戦で好調だったザウバー、特に今回はマーカス・エリクソンの方が調子良さそうで、彼もこの集団に絡んでくるかもしれません。

 また、ロータスも面白い存在になりそう。走り出しのペース自体はウイリアムズらに比べると1秒近く遅いものの、デグラデーションの値は非常に小さく、ピットストップ回数を少なくして、上位進出を目指してくる可能性があります。テレビの画面に映る回数は少ないかもしれませんが、あれよあれよという間に順位を上げているかもしれません。こちらもご注目ください。

 そしてマクラーレン・ホンダですが、前回と比べれば、上位との差をかなり縮めてきているという印象です。開幕戦では先頭からの遅れは4.48%程度でしたが、今回はその差2.2%。確実に前進していると言っていいでしょう。そのため、フォース・インディアと予選で争い、決勝でもコース上でのバトルを見ることができるはず。少なくとも今季初戦となるマノーに脅かされるようなことはないでしょう。怪我から復帰したフェルナンド・アロンソも、開幕戦で11位完走に導いたジェンソン・バトンも、マシンの進歩を認める発言をしています。正直、トップはまだまだ遠いです。しかし、確実に進歩しているのも間違いありません。新生マクラーレン・ホンダが、今後どんな進化を見せるのか? まずは今回の予選と決勝の走りに注目です。

 なお、今年のマレーシアGPは、予選が現地時間の17時から、決勝は15時スタートです。この時期のマレーシアは、夕方になると必ずと言っていいほど雨が降ります。それも、生半可な雨ではなく、バケツをひっくり返したようなスコール。予選と決勝に、天候がどう絡んでくるかという部分も、実に気になるところです。