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自転車「日本代表チーム」総監督を解任された松本整さん、自転車競技連盟と「和解」

2015年03月27日 20:11  弁護士ドットコム

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競輪の元名選手で、自転車競技の日本代表チームの総監督を務めていた松本整さんが、日本自転車競技連盟(橋本聖子会長)から解任され、裁判で撤回を求めていた問題は3月27日、和解で決着した。東京地裁で成立した和解の内容は、「連盟が解任を撤回」したうえで、「今年3月27日付での契約終了で合意」などとするもの。松本さんは「連盟の健全化という目的は達成できた」と話した。


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●リオ五輪を見据えた契約だった


原告側代理人の郷原信郎弁護士によると、松本さんは2016年のリオデジャネイロ・オリンピックを見据えて、科学的・組織的トレーニングによって選手を長期育成するため、2011年に総監督に就任した。契約期間は2017年3月までだったが、連盟側は2014年6月の理事会で、松本さんを総監督から解任する決議をした。



ところが実は、松本さんと連盟との間の委嘱契約には、「途中解任はできない」という覚書がついていた。また、松本さんは「チームの成績不振」を理由に解任されたが、自転車の日本記録更新回数は、松本さんの就任後に大幅に伸びていたという。



松本さんは、「契約を盾に地位にしがみつくつもりはない。しかし、契約無視の解任に屈したら、スポーツ界に悪影響がある」として、裁判に訴えた。



●「コンプライアンス強化推進」で合意


今回の和解のポイントは(1)松本さんを総監督から解任した決議を連盟が「撤回」すること。(2)松本さんと連盟が3月27日付けの委嘱契約終了に合意したこと。(3)連盟が、この裁判・和解をきっかけに、コンプライアンス体制の強化を推進することだった。



日本自転車競技連盟は3月27日、松本さんの解任決議について「遺憾の意」を表し、決議を撤回することを公式ウェブサイトで公表した。また、「公益財団法人としての社会的責任を自覚し、その根幹をなすコンプライアンス体制の強化をさらに推進します」と表明した。



松本さんは和解成立後、東京・霞が関の司法記者クラブで開いた記者会見で、「法や契約を守る健全な組織運営を回復するため起こした行動だった。訴訟の目的は達成されたと思う。連盟の健全化と自転車競技の発展に期待したい」と話した。



(弁護士ドットコムニュース)