2015年03月26日 20:21 弁護士ドットコム
スマホアプリの中で最近、人気を集めているのが、不用品の写真を撮って、そのままネットのフリーマーケットに出品できるアプリ。いわゆる「フリマアプリ」と呼ばれるものだ。スマホで撮影して、わずか数分で出品できるお手軽さが人気の理由だが、困ったことも起きている。
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想定より「安い値段」の設定のまま、うっかり出品してしまったーーそんな人からの質問が、ネットのQ&Aサイトに寄せられている。ある質問者は、本当に売りたい値段よりもかなり安く出品してしまい、間違いに気づいたときは、すでに購入ボタンが押されていた。購入者にキャンセルするよう頼んだが、「発送してください」と断られたそうだ。
アプリの利用規約を読むと、出品者と購入者の間でのトラブルは当事者間で解決することや、商品の注文後のキャンセルはできないことが記載されている。
たしかに、値段を間違って表示したことは、出品者の責任だろう。しかし、ミスによるものならば、同情の余地がある。一般論として、誤った価格で出品されたものでも、買い手がついたら、出品者はキャンセルできないのだろうか。堀田裕二弁護士に聞いた。
「法律上の売買契約は、売主の『売りたい』という意思と、買主の『買いたい』という意思が合致した時点で成立します。それ以外の手続は必要ありません」
堀田弁護士はこのように切り出した。今回のケースでは、売買契約が成立しているといえるのか。
「まず、フリマアプリに出品した時点で『この商品を売ります』という意思が表示されているとみることができます。そして、それを見た人が購入ボタンを押せば、『この商品を買います』という意思の表示となり、売買の意思が合致したことになって、売買契約が成立します。
売買契約が成立した以上、その後は、双方が契約関係にしばられるため、出品者が一方的にキャンセルできないのが原則です」
では、値段を間違えて出品してしまった質問者は、泣き寝入りするしかないのか。
「もちろん、購入者と協議してキャンセルすることは可能です。また、商品の価格が明らかに安すぎるなど、出品者が価格を間違えて出品していることが明らかで、購入者もそのことを分かっているにも関わらず購入している場合、契約がなかったことになる可能性があります」
フリマアプリを運営する事業者に責任はないのだろうか。
「出品者が内容を確認する措置がきちんととられていないような場合は、アプリ事業者の責任を追及できる可能性もあります。
ただ、そのようなケースは稀だと考えられますので、出品に際しては十分に内容を確認してから出品するようにしましょう」
堀田弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
堀田 裕二(ほった・ゆうじ)弁護士
大阪弁護士会電子商取引問題研究会事務局長、IT・コンピュータに関する問題やスポーツに関する問題、ファッションビジネスに関する法律問題に特化して、主に企業向けに専門的なサービスを提供している。
事務所名:アスカ法律事務所
事務所URL:http://www.aska-law.com/office.html