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美しく鳴く「メジロ」の飼育は違法?「鳴き合わせ会」メンバーはなぜ摘発されたのか

2015年03月26日 11:21  弁護士ドットコム

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その名のとおり、目の周りの白いフチドリが特徴の野鳥「メジロ」。その美しい鳴き声を好む愛好家たちは古くから多く、鳴き声を競う「鳴き合わせ会」は江戸時代から開かれていたという。


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ところが、そんなメジロ愛好家たちが摘発されたというニュースが流れ、世を驚かせた。愛知県警が3月中旬、県内に住むメジロ愛好家の男性22人(59~79歳)を鳥獣保護法違反の疑いで書類送検したと発表したのだ。22人は違法に捕獲したメジロやウグイスなどの野鳥計286羽を許可を得ずに捕獲・飼育しており、もっとも多い人で40羽のメジロを飼育していたという。



報道によれば、22人は「鳴き合わせ会」のメンバーで、定期的に開催する品評会に出場させるため、より良いメジロを求め、捕獲を繰り返していたという。ちなみに、鳴き合わせ会は鳴き声の美しさや3分間あたりの鳴く回数を競うもので、この会で過去に優勝したメジロは、3分間に700回も鳴いたそうだ。



しかし「鳴き合わせ会」という風雅な伝統があるのに、なぜメジロの捕獲や飼育は「違法」とされてしまったのだろう。また、ケガをしたメジロを路上で見つけた場合でも、保護して家に持ち帰ってはダメなのだろうか。



●メジロの捕獲・飼育はなぜ禁止されているのか


「メジロは名前のごとく目がパッチリしており可愛らしく、また、さえずりが綺麗で人気があります。家で飼いたくなる気持ちはわかります」



動物に関する法律に詳しい渋谷寛弁護士は、メジロの魅力をそう語る。



「しかし、野鳥の自然体系の保護のためには、人間がむやみに自然界に介入し、捕獲することを防ぐ必要があります。そのため、『鳥獣保護法(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)』は原則として、野鳥の捕獲を禁止しています。メジロも野鳥ですから、原則として捕獲できないのです」



「原則禁止」であるなら、捕獲が認められる場合もあるのだろうか?



「学術研究や、鳥による生活環境にかかわる被害防止などのために、環境大臣または都道府県知事が許可を与えれば、捕獲は認められます。



一方で、愛玩目的の捕獲については、環境省が告示した基本指針(『鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針、平成26年12月最終改正』)により、密猟を助長するおそれがあるため、禁止するとの方向が打ち出されました。



それゆえ現状では、愛玩目的のための捕獲は許されません」



●ケガをしたメジロを保護するのはOK?


では、ケガをしたメジロを道端で見つけた場合に、保護のために連れて帰るくらいは許されるのだろうか。



「動物愛護管理法36条は、負傷した動物を発見したとき、都道府県知事に報告するよう規定しています。都道府県知事といっても、実際には役所の鳥獣保護課などに連絡する形になります。



ケガをしたメジロの保護という目的があっても、届け出もなく無断で家に連れて帰れば、自己の支配下に置くことになりますので、無許可の捕獲にあたります。また、そのまま保護する際も同様で、都道府県知事から許可を得なければ、罰則の適用があります。



この条文には、負傷した野鳥から鳥インフルエンザなどの『感染症』に罹患する危険性から、人間や社会を守るという意味合いもあります」



では、もし許可を得ずにメジロの捕獲・飼育をした場合、どんな罰を受けるのか?



「許可のないままメジロを捕獲すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。また、許可なく飼育すれば、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます」



「可愛いから」「かわいそうだから」と感情に突き動かされて手を伸ばすと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があると肝に銘じておくべきだろう。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
渋谷 寛(しぶや・ひろし)弁護士
1997年に渋谷総合法律事務所開設。ペットに関する訴訟事件について多く取り扱う。ペット法学会事務局次長も務める。
事務所名:渋谷総合法律事務所
事務所URL:http://www.s-lawoffice.jp/index.html