残業ばかりしているハードワーカーを応援して、モチベーションをアップさせる「日本残業協会」なる団体があるという。創設は2013年だ。
公式サイトによると、残業に励む人を「前向きな気持ち」にすることで、「業務効率向上」と「健康増進・生活向上」を図るとともに、その波及効果で「市場活性化」や「企業体質健全化」を目指しているとする。
残業応援アイドル「残蜜」のグラビアも掲載
サイトでは、残業をテーマにしたさまざまなコンテンツが掲載されている。「残業力検定」では、「会社から自宅への終電時刻を把握しているか」「責任感は強いか」といった7つの質問に答えると「ザギョニスト」として認定してもらえる。
受験後に送られてくる解説によると、残業を厭わない「社畜」のように回答すればいいのでは決してなく、作業効率化を図り、できるだけ残業を減らす姿勢が求められるようだ。
また、「ザギョペディア」というコーナーでは、「ザギョニスト」から寄せられた残業ワードを紹介している。「勤労感謝の日」は「働ける事に感謝する日であり、有り難く出勤する日」と説明。休日でも働くのがザギョニストなのだろうか。
ただし、「結婚記念日」は様子が異なる。この日に帰宅できるかどうかで、今後1年の夕食や小遣いが決定するイベントだと定義し、「丁寧に対処するのが吉」とアドバイスしている。
そのほか、残業中の写真を投稿して共有する「残業百景」や、残業する人を応援するアイドル「残蜜」のグラビアなどが掲載されている。かなり気合いが入っているが、一体どういう経緯で始めたのか。代表の藤橋遼さん(32)はキャリコネニュースの取材に対し、こう説明する。
「残業している人が集まって意識を共有し、モチベーションアップに繋げたい、と思って始めました。現在、活動を広く知ってもらうため、面白いと思ってもらえるコンテンツを発信しています」
残業中の人同士で交流するアプリを開発中
同団体の考え方でも、特に興味深いのは、残業そのものを批判しているのではない、という点だ。仕事をしていると、何時までに終わらせようと思っても、実際には終わらないことがある。そこで仕事を投げ出すことはできない。
「当協会では、残業をしないということではなく、モチベーションをアップさせて効率よく働くことで、結果的に仕事を早く終わせて早く家に帰ることを推奨しています。単なる残業好きの集まりではないのです」
そうした観点から現在力を入れているのが「残業MAP」というiPhoneアプリの開発だ。どこで誰が残業しているかをマップ上で表示し、互いにコミュニケーションを取るものだ。
近くで残業中の人に「早く終わらせてメシでも行こうよ」といったメッセージを送ることができる。5月のリリースを予定している。
「以前、広告代理店に勤務していたときに連日残業続きで、家に帰れない日もありました。でも、外のオフィスビルを見ると、まだ明かりが付いていて、『みんな頑張っているんだ』と思ったものです。残業中の人同士でやりとりして、前向きな気持ちになってもらえれば」
同協会は現在メディアでも注目され始めており、テレビやスポーツ紙で取り上げられることも。最近は、ドイツのテレビ局からも取材があったということだ。