採用面接の場面で、アルバイトの話はしない方がいいのでしょうか。実はこの話題、私の周囲の採用担当者の間でも賛否両論があるのです。
まずは否定派の意見から紹介します。彼らからよく聞くのは「同じような話が多いから」、あるいは「たかだかバイトでの経験なのに、『自分は仕事がデキる』とカン違いしている学生がいるから」という不満です。アルバイト程度の話を、得意げに語られても白けるだけだというのです。(文:河合浩司)
自慢話は「たかがバイトで」と冷ややかに見られる
中には「入社してからカン違いを矯正するのは、あまりに面倒」といって、採用したくないと言う人もいました。確かに「バイト先で自分がいかに必要とされているか、有能か」について、滔々と語り出す人はいます。
自分では最高の自己アピールをしているつもりなのでしょう。しかしそもそもバイトに任せる業務は、ルーチン化されたものが大半なのは承知のこと。採用担当者はその点を冷ややかに見ていることが多いものです。
つまり手柄を話すときでも、自分で自分を「スゴイでしょ?」と伝えるのではなく、実際に自分がしていた業務を、事実に基づいて具体的に話した方がよいのです。
一方、アルバイトの話に肯定派の意見は、「仕事への取り組み方を垣間見ることができるから、ぜひ聞きたい」というものです。私も就活生のアルバイト経験について興味を持って聞くので、この気持ちがよくわかります。
話をするときは、仕事の中での創意工夫を話しましょう。当初の問題を事実に沿って説明し、何を課題として具体的に何を改善したら、どういう結果になったかという流れが大事です。結果は別に大成功ではなくてもいいのです。
「そんな工夫なんて考えたこともないよ!」という方は、今日からでも工夫を考えて実行してみましょう。それがどうしてもできない人は、指示通りに動けばいい企業の方が合うのかもしれません。
新卒採用したいのは「自分で工夫する人」
私は、任される業務への取り組み方を聞くことで「自分で考えて創意工夫をする人かどうか」を知ることができると考えています。
否定派の意見にあった「同じような話が多い」というのは、学生さんが単なる「業務紹介」で終わってしまう人が多いので、そう思われているのでしょう。自分の工夫の話であれば、各々に違った内容になるはずです。
実際に、ある学生さんは、スーパーのレジ係のアルバイトをしながら「どうすればもっと早くレジを終えることができるのか?」を考えて、工夫していると話してくれました。
飲食店での接客の話もよく聞きます。その中にも、ただ単にお客様に呼ばれたら注文を取ることだけをしている人と、自分なりに「より良い接客をするためには何が大事か?」を考えて、お客様のことを覚えて常連客作りにつなげる人がいます。
何も考えずに上からの指示に従うロボットのような人を採用したい企業は、前者を採用するでしょう。しかし新卒採用をする企業の多くは、将来の幹部候補となる人を探し求めています。幹部となる人には、自分で考え行動する力が必須ですから、必然的に「自分で工夫する人」の評価が高くなるのです。
なお、アルバイトの内容はありふれたもので構いません。「珍しいアルバイトをしていると、印象に残りやすいから面接で効果的」というカン違いが就活本や就活サイトに書かれていたりしますが、あれは真っ赤なウソです。「印象に残る」「話が弾む」ということと、「一緒に働きたい」ということはあまり関係ありませんから。
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