2015年03月20日 17:41 弁護士ドットコム
STAP細胞の研究不正問題をめぐって、理化学研究所は3月20日、文部科学省で記者会見を開き、小保方晴子元研究員に対する刑事告訴は「現時点では難しい」として、断念することを発表した。一方、STAP細胞の論文の投稿料については、その一部にあたる約60万円の返還を求める方針を表明した。
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昨年12月に退職した小保方さんについて、理研はこれまで「刑事告訴や研究費の一部返還請求を検討している」と説明しており、刑事事件に発展するかどうかが焦点の1つになっていた。
この日の会見で、理研の坪井裕理事は「理研としても、法的措置(刑事告訴・刑事告発)が、ES細胞を混入させた行為者の特定につながるのか慎重に検討してきた。しかし、現時点では法的措置は難しいと判断した」と述べた。
理研は、検察官経験者を含む複数人の法律家と相談したうえで、(1)多くの人にES細胞を混入する機会があり、特定することは難しいこと(2)故意で混入させたかどうか、決定的に判断するのは難しいことなどを理由に、刑事告訴の断念を決めたという。
同席した理研の有信睦弘理事は「これ以上の調査は、理研としてやれることを超える」として、追加の調査をおこなわないことを表明した。
ただ、研究不正が認定された項目のうち、4点について論文に記載があるため、理研の規程にもとづいて、運営交付金から支払われた論文投稿料の一部として、「ざっくりと計算して60万円」(有信氏)の返還請求をおこなう。
小保方さんの代理人をつとめる三木秀夫弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「理研からまだ何も正式な請求も連絡も来ていないので、現時点(20日16時30分ごろ)でのコメントは控えさせていただきます」と回答した。
(弁護士ドットコムニュース)