2015年03月20日 15:31 弁護士ドットコム
全国の小中学校の教員のもとに、現金を要求する脅迫状が、相次いで届いている。NHKによると、3月13日の時点で、脅迫状を送り付けられた教員は、2500人近いという。
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それらの脅迫文は「(体罰などで)教え子の心を傷つけた」「親から復讐を頼まれた」「300万円支払えば中止する」などとして、海外に現金を送金するよう要求している。全国各地に同様の脅迫状が届いているとみられるが、今のところ実際に支払った事例はないもようだ。
警察は「恐喝未遂」の疑いで捜査しているようだが、仮に1人の人間が2500人に脅迫状を送りつけていて、計2500件の恐喝未遂で有罪になっとしたら、刑罰はどうなるのだろうか。恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」だから、単純にかけ算をすると10年×2500件で「2万5000年」になるが・・・。刑事事件に詳しい山田直子弁護士に聞いた。
「2500通の脅迫状を1通ずつ2500人に送ったとすれば、それぞれ別の犯罪行為が2500件あると言えます。
つまり、別の人を対象に、(内容は同じでも)別の脅迫状を送ったのですから、2500件の犯罪がそれぞれ別に成立しうるということです」
そうすると、仮に2500件の恐喝未遂で有罪となれば、刑罰は2500倍になるのだろうか。
「恐喝未遂を1件起こしたときに比べると、刑が加重されますが、2500倍にはなりません。
一度の裁判で2500件の恐喝未遂罪に問われた場合、刑罰は『併合罪』(刑法45条)として、まとめて計算されます」
どのように計算されるのだろうか?
「併合罪となった場合、判決で科すことのできる刑罰の幅は、『犯罪事実の中でもっとも重い罪の1.5倍まで』となります。
つまり、恐喝未遂を複数犯した場合、10年以下の懲役の1.5倍ですから、最大で『15年以下の懲役』になるということです」
山田弁護士はこのように述べていた。
海外のニュースでは、まれにいくつも犯行を重ねて「懲役1000年」といったケースを聞くことがあるが、どうやら日本では、そのようなケタ違いの懲役刑が科せられることはないようだ。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山田 直子(やまだ・なおこ)弁護士
奈良弁護士会所属(元検事)
事務所名:弁護士法人松柏法律事務所生駒事務所
事務所URL:http://shohaku-law.jp/