帝国データバンクは3月12日、「2015年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果を公表した。全国の1万593社から回答を得た。
正社員の採用予定ありと答えた会社は63.6%にのぼり、リーマン・ショック前の2008年度以来7年ぶりに6割を超えた。前年度比4.1ポイント増で、5年連続で改善した。
ソフト受託開発「情報システム産業での人材不足は顕著」
規模別で見ると、大企業では82.1%で正社員の採用予定があると回答したが、中小企業では58.3%にとどまっており、改善スピードにはやや差が見られる。
2014年12月の有効求人倍率は1.15倍と、1992年3月以来22年9か月ぶりの高水準になっていることもあり、雇用環境の改善が進んでいるようだ。回答企業は、
「物流業において労働力不足が懸念されるため、多少コストが増えても定期的に新卒者の採用を増やしている」(一般貨物自動車運送、宮城県)
「情報システム産業での人材不足は顕著」(ソフト受託開発、東京都)
「いよいよ新人を入れないと世代間ギャップが埋めきれないところまで、若者が減少している」(建設、北海道)
「売り上げ確保のためには正社員の増強は必要不可欠」(建設、福島県)
といったコメントを寄せている。
2016年春新卒の採用時期の後ろ倒しの影響については、「影響はない」と答えた企業が50.6%と半数を超えた。「不利になる」と答えた企業は11.1%にとどまり、「分からない」が36.4%だった。自社への悪影響を懸念する傾向は、大企業ほど強かった。
東京都のある情報サービス会社では、先行して内定を出す外資系企業の影響などで、通年採用など「春の新卒一括採用ではないスタイル」に変化していくことを予想。「今後、採用コストは格段に跳ね上がる」とコメントしている。
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