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学生とスーパー耐久に参戦する藤井誠暢「今年はチャンピオンを目標にしたい」

2015年03月18日 19:30  AUTOSPORT web

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スーパー耐久に参戦するKONDO RACINGと日産自動車大学校がコラボレートしたチームのメンバー。左から日産自動車大学校の玉生久典氏、日産横浜自動車大学校の丹呉いづみさん、藤井誠暢選手、日産横浜自動車大学校の石山景大さん。
2015年のスーパー耐久シリーズ第1戦もてぎが、3月28日~29日に開催されるが、このスーパー耐久にはKONDO RACINGと自動車専門学校の日産自動車大学校がコラボレートしたユニークなチームが2012年から参戦している。

 1990年にスタートしたN1耐久をルーツにもち、スーパースポーツであるFIA-GT3カーから、ヴィッツやフィット等コンパクトカーが参戦するカテゴリーとして、多くのエントリーを集めるスーパー耐久。車種バラエティも豊かで、ドライバーもプロからジェントルマンドライバーまで幅広い層が集まっている。

 そんなスーパー耐久で、2012年からKONDO RACINGと日産自動車大学校が共同して進めているのが、学生がメカニックやマネジメント、広報などの仕事を通してレースの世界に関わるプログラムだ。レースが行われるサーキットに近い、日産自動車大学校5校(栃木、横浜、愛知、京都、愛媛)が各ラウンド毎にサポートを担当し、プログラム初年度の2012年にシリーズ第3戦岡山で初優勝、昨シーズンはランキング3位を獲得するなど活躍をみせており、レース業界からも期待が寄せられている。

●「学生が工具を持っていることに、最初は違和感があった」
 このプログラムの初年度からドライバーを務める藤井誠暢は、「プログラム初年度の2012年は、サーキットなのにサーキットじゃないような、まるで学校のような雰囲気をピットで感じていました」とプログラム開始直後を振り返った。

「それまでずっとプロと仕事をしていましたから、違和感はありました。プログラム初年度の開幕戦から、ピットの設営やトルクチェックなどを学生たちがサポートしていたんです。」

 藤井は、学生たちの成長スピードが速かったと続け、「こんなに短い時間でヒトって成長するのかなと思うくらいの短い時間で、各パートを担当する学生が成長してくれました。その結果として、初年度に目標としていた1勝を挙げることができました。3年目となった2014年も1勝してシリーズランキング3位を獲得して、右肩上がりに来ていると思います」とコメントした。

「成績が右肩上がりに上がってきているので、非常にいい3年間を過ごすことができました。また、このプログラムが社会的にも評価を受けているらしいので、4年目を迎えることができましたし、チームとして初めてシリーズにフル参戦することになりました」

●「他の人には経験できないことだった」
 実際にチームの一員として働いた日産横浜自動車大学校の石山景大さんは、「藤井さんに常に付き添って、ヘルメットやグローブ、ドリンクなどを準備するドライバーサポートを担当しました。時間の管理や情報伝達など実社会で必要になることを学ぶことができました。裏方のような仕事だと思っていましたが、ずっと気を張っている必要があって、本当に得るものが多かったです」と感想を語った。

 レースの現場で大変だったことを問われた横浜校の丹呉いづみさんは、「私が担当したテクニカル・マネジメントスタッフは、ピットとホスピタリティ対応などを担当する希望者の多い仕事です。私たちでグループを作って、隙間ができないようスケジュールを組むんですが、当日イレギュラーなことが起きて、うまくいかないことが多くて苦労しました。また、マシントラブルがあった時などは、プロのメカニックの仕事を邪魔しないようにするのが精一杯でした」と振り返りながらも、「ほかの人にはできない経験ですし、学んだことは多かったです」とコメントした。

 最後に、今シーズンの目標について聞かれた藤井は、「プログラムを開始してから、あらゆる面で右肩上がりに成長しています。そして、去年はシリーズ3位を獲得しました。そうなると次は1位と2位しかありませんよね」とコメント。

「いままでの3年は、“勉強と成長”がキーワードだったと思います。今年は一歩ステップアップして、学生のみんなと緊張を味わって、チャンピオン獲得という目標を目指す、ということをやる年だと思っています。全員が、より高いレベルでパーフェクトな仕事をしていく必要があります。学生たちは、さらに気を引き締めて頑張ってくれると思いますし、僕たちドライバーもそういった思いで、今シーズンに向けて非常に気合が入っています」

「今まではレースを担当する各校のメンバーと“勝ちたいね”ってやってきたんですけど、今年は各校がうまく連携して確実にポイントを取るということをやる年だと思っています。シリーズチャンピオンを目指す準備ができましたし、目指さなきゃいけないなと思っています」

 プログラム4年目の初戦となる開幕戦もてぎには、日産自動車大学校5校が合同して学生を派遣するという新たな試みが行われ、今回話をしてくれた石山さん、丹呉さんもスタッフとして参加するとのことだ。

 近年多くのチームが参戦し盛り上がりをみせているスーパー耐久。3月28日~29日の開幕戦もてぎでは、ドライバーの熱いバトルはもちろん、プロとともに奮闘し、時にはプロ以上の活躍をみせる学生スタッフにも注目してほしい。

 スーパー耐久シリーズ第1戦もてぎの詳細は、ツインリンクもてぎの公式サイト(http://www.twinring.jp/s-taikyu_m/)まで。