就職活動の諸問題に取り組んでいるNPO法人DSSが3月9日、2016年卒の就活で懸念されている「オワハラ」に関する動画をYouTube上で公開した。
「オワハラ」とは「就活終われハラスメント」のことで、企業の人事などの関係者が、学生に対して就活を終わらせて自社に入社するよう圧力をかける行為を指す。
2015年は経団連加盟企業が採用・選考時期を8月に後ろ倒しする一方で、非加盟企業は早期に内定を出すと見られている。そのため、後から選考をする企業に学生を取られたくないとして、こうしたハラスメントが多発する可能性があるという。
イベントを必要以上に設けて拘束する行為も該当
動画では「オワハラ」の4つのパターンを紹介している。1つめは「就職活動の終了を明言しないと内定をもらえないと不安にさせるような言動」だ。
「内々定を出した人には就職活動をやめてもらうことになってるんだけど、それで大丈夫だよね」
「内定者の枠があるから君が入社する意思を明確にしてくれたら、すぐに内々定を出せるんだけどね」
といった発言で就活生にプレッシャーをかける。動画では、特に就職活動早期におけるこうした言動は、早く内々定を欲しい学生の不安につけこみ、「納得のいく就職活動」を阻害している可能性が高いと指摘されている。
2つめは「就職活動の終了を言質や書類提供を強要し、他社の面接を受けることや、内々定を辞退することへの精神的な圧迫を感じさせる行為」。内定を承諾するよう迫り、辞退しにくいような圧迫を感じさせることも、これに含まれる。
3つめは「選考期間・選考時間・選考頻度を必要以上に多く設け、拘束的なイベント等で他者の選考を受けさせないようにする行為」。他社の選考日にあわせて、長時間のイベントを設けることも望ましくない。動画では「企業は、なぜそれほどの選考過程が必要なのか、学生に明確に説明する必要があります」としている。
4つめは「リクルーターなど今までの関係性を必要以上に強調し、内定承諾や就活の終了を強要する行為」。OBOGから何度も強引に食事に誘われ、断りにくくなったという話を聞くが、これに当てはまるのかもしれない。
「終了時期は、企業の事情で決めていいものではない」
動画では、再現VTRとして、採用担当者が「君がうちに入りたいと思っているなら、今ここでA社に辞退の連絡してくれる?」と迫る場面も。
「明日も面接やるから必ず来てね」という採用担当者の言葉に、学生が「えっ……もう私3日連続で面接に来てるんですけど」と困惑。それでも担当者は「明日もやるし、明日通れば明後日もやるよ」とたたみ掛ける場面もある。
動画では、自民党衆院議員の小林史明氏(31)が「みなさんが自由な就職活動をできる環境をつくりたい」と呼びかけている。小林氏はNTTドコモで人事を担当していた経験があり、就活の問題にも積極的に取り組んでいる。
「就活は、大切な人生を選択するタイミングであり、みなさん自身の自由な意思による決断で決めるもの。企業の事情で決めていいものでは決してありません」
そして、このような「オワハラ」に自分や友達が遭遇した場合には、大学のキャリアセンターなどしかるべきところに相談するよう呼びかけている。
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