トップへ

インディカー公式テスト:シボレー勢2強が順調な仕上げ。琢磨も好感触

2015年03月18日 16:10  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

今回のテストで総合トップタイムをマークした昨年の王者ウィル・パワー
3月16、17日にバーバー・モータースポーツパークでベライゾン・インディカー・シリーズの公式テストが開催された。二日間で23台が走行を重ね、昨年の王者ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がトップタイムをマーク。トップ6まをシボレー勢が占める結果となった。佐藤琢磨(AJフォイト)は、2日目にタイムアップし、ホンダ勢では2番手の10位でテストを終えている。

 恒例の開幕直前テストがアラバマ州のバーバー・モータースポーツ・パークで開催された。全長2.3マイルの美しいコースは今年もシリーズ第4戦の舞台となる。今年からはこのテスト、オープンテストではなく、プロモーターズテストという呼称になっている。

 1カ月と少し先に実際にシリーズ第4戦が行われるコースとあって、マシンセッティングに各チームとも力が入っていた。しかも、今シーズンは エアロキットが導入される。ホンダとシボレーがこのオフの間に開発して来た新しいエアロパッケージだ。まだ届いたばかりの空力パーツの数々を装着したマシンをできる限り高いレベルに仕上げようと、2日間のテストにエントリーした11チーム、23台は精力的に走り込んでいた。

 今年の2日間のテストは両日とも好天に恵まれた。バーバーでのオープンテストでは初めてのことだ。気温はいちばん寒かった1日目の走行開始時点で さえ摂氏18度もあった。それが日中には28度まで上昇。この地域の夏の暑さとは比べ物にならないが、晴れ渡った空の下、初夏のような穏やかさの 下でテストは続けられた。良好なコンディションが保たれたことで、参加チームはどこも大きな成果を挙げることができていた。

 走行初日にはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が1分7秒4805でトップだった。2番手はチーム・ペンスキーに移籍した ばかりのサイモン・ペジナウで、タイムは1分7秒5329だった。3番手は昨年度チャンピオンのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、4番手は ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)、5番手は昨年度ランキング2位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)とシボレーの二強がトップ5を占めた。

 2日目は少し風の強いコンディションで始まったが、それも収まって好コンディションが続いた。朝10時から午後1時までのセッションではパワーが1分7秒3118でトップ。前日に比べて少しではあるもののラップタイムは確実に削り取られた。

 このセッションではモナコ出身ルーキー、ステファノ・コレッティ(KVレーシング・テクノロジー)が1分7秒5224という素晴らしいタイムを 出して2番手につけ、ホンダ勢からはレイホールが1分7秒6992で4番手に食い込んだが、走行1日目の2セッション総合と同じく、ホンダ勢のトップ10入りは3人までだった。

 そして、いよいよ最後のセッションとなった。午後2時から6時までの4時間。夕方になると気温、路面温度ともに少し下がり、タイムを出しやすいコンディションとなる。そこに向けてマシンを各チームともチューニングしていき、残しておいたフレッシュタイヤでベストを叩き出そうと張り切っていた。セッション終了、即ちオープンテスト終了が近づくにつれて走りはヒートアップ。目まぐるしく順位の入れ替わるタイム争いが繰り広げられた。

 残り15分の時点、トップはパワーの1分7秒4984だった。しかし、チェッカード・フラッグが振り下ろされた時、トップにはまたしてもディクソン の名があった。2番手はパワーの1分7秒4984、3番手はカストロネベスの1分7秒5304だった。4番手はペジナウ(1分7秒5956)。 ここでもシボレー軍団がトップ4独占を果たした。

 ホンダ勢のトップはレイホールによる1分7秒6203。トップだったディクソンとの差は0.2207秒だった。この差は第4戦開催時に縮められるか? あるいは広がるのか?
 
 最終セッションでのトップは上記の通りにディクソンだったが、彼のラップは1分7秒3996で、ひとつ前のセッションでパワーが記録した1分7秒3118の方が速く、そちらが4セッション総合、つまりは今回のテストでのトップタイムとなった。

 なお、最終セッションでもホンダ勢のトップ10入りは3人だった。そして、4セッションを総合すると、ホンダのトップ10入りはレイホールと佐藤琢磨のふたりとなる。ホンダ勢ではエアロキット開発を担当していたアンドレッティ・オートスポートがテストでのパフォーマンス不足に悩まされていた。

3名が走ったが、総合でのチーム内トップはハンター-レイの14番手だった。ムニョスは16番手、マルコ・アンドレッティは21番手と低迷していた。彼らのチームから開幕戦への出場が決定しているシモーナ・デ・シルベストロは、来週のセブリングでのプライベート・テストがエアロキット装着インディカーへの最初の搭乗となる。

 インディカーでの5年目、AJフォイト・レーシングでの3年目を迎える佐藤琢磨は、最終セッションで1分7秒6638のベストをマーク。セッションの7番手につけた。これが2日間の彼のベストで、総合順位は10位となった。ホンダ勢のトップはレイホールにセッション終了間際に奪われたが、初日が17番手、2日目の1セッション目が18番手という苦しい位置から状況を一転させ、トップ10へと食い込んで見せたところは、開発能力が高いと評価されている琢磨の本領発揮だった。チームメイトのジャック・ホークスワースも最後のプラクティスでタイムを向上させ、最終セッションの15番手、総合の17番手で2日間のテストを終えた。

「収穫の多い1日にできた」と2日目の走行を終えた琢磨は語った。「この2日間で凄い量のデータを収集できた。そして、今日の最後のセッションで多くの要素をまとめ上げる事に成功した。新エアロキットを装着したマシンは、セッティングが非常に難しい。マシンのキャラクターがとても繊細になるから。今年は2台体制なのでデータは2倍ある。それらをエンジニアたちが巧く解析してくれたので大きな前進を最後に果たすことができた」

「開幕前の合同テストでトップ10入りできたは嬉しい。これから今回集めたデータを深く分析して開幕戦に備えたいですね。来週にセブリングでストリート・コース用のテストを行うので、今より更に深くマシンを理解してセント・ピーターズバーグ入りができることと思います」

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)